中日本高速道路(以下中日本)は9日、天井板が崩落し9人が死亡した「笹子トンネル」の上り線を緊急点検した結果、天井板のつり金具を支える「アンカーボルト」の緩みや欠落など計1211カ所の不具合が見つかったと発表した。
昨年12月のトンネル下り線の緊急点検でも、670カ所の不具合が見つかっている。
2000年、05年、08年、12年9月とこれまで4回も大規模な点検をしていながら、改めて1000カ所以上も不具合が見つかるなんて、一体、これまで何を点検してきたのか。
中日本広報部は「05年からの点検は主に目視で、今回は細かく打音検査をしたため」と釈明するが、経費削減を優先し、いい加減に検査をしていたのは明らかだ。その結果、ボルトが脱落して9人が亡くなるという惨事が起きてしまったのだ。
今回の事故では、中日本の“天下り先”に、高額費用で保守点検を丸投げしていたことも明らかになっている。
保守点検をしていたのは子会社の「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」(以下、エンジ東京)。社長、副社長、取締役に加えて、役員4人のうち3人が立派な旧道路公団の“天下りOB”。それぞれの報酬は2000万円近くともいわれている。
売り上げの8割が中日本との取引だ。中日本が割高で業務を発注するため、昨年1月に会計検査院が立ち入り調査し、改善するよう求めていたことも、一部報道で明らかになっている。
「国民からバカ高い通行料を徴収し、それをグループ会社で山分けしていることになります。人件費が第一で、安全は二の次だったと言われても仕方ありません。子会社の『エンジ東京』は今回事故のあった山梨以外に、東京、神奈川、静岡などのトンネルの保守点検も担当している。高い委託料をもらっていながら、ズサンな点検が行われていたのは明らかで、こちらも改めて緊急点検すべきです」(交通ジャーナリスト)
http://gendai.net/articles/view/syakai/140441
─情報元:ゲンダイネットサイト様─