2013年5月に、100日洗わなくても着られるシャツが開発された。汚れやにおいはおろかシワまでつかないというから、忙しいビジネスマンに最適だ。
人間の身体は100日間洗わなくても大丈夫だろうか?もしも風呂なし生活を続けたら、皮脂や汗がカビを呼び、皮膚炎や肉芽腫(にくがしゅ)に悩まされるだろう。
■触ってごらん、ウールだよ
洗わなくても大丈夫なシャツはWool&Prince社によって開発された。ビジネスでも着られるシャレたワイシャツで、話題性と1枚98ドルの低価格もあいまって、事業資金を集めるサイトkickstarterでは目標の10倍に及ぶ30万ドルもの投資を得たという。
さぞかし特殊な素材が使われているのだろうと思ったが、意外にもウールでできているのだ。
ウールのセーターを素肌に着ると、チクチクして快適とは程遠い。ところが同社のウールはコットン・ソフトと名付けられ、綿並の肌触りが実現されている。開発期間はたった6か月というから驚きだ。
綿のような肌触りを実現するカギは、繊維の太さだ。人間の頭髪が60から120μm(マイクロ・メートル)、つまり0.06~0.12ミリ程度なのに対し、綿は15~20μmと非常に細い。
対してウールは35~40μmと綿の2倍ほど太く、その差は歴然としている。そこで18μm程度の良質なものを使い、綿のような柔軟性を実現しているのだ。
すごいぞコットン・ソフト。ウールマークは目立つところにつけてほしい。
100日間洗わなくて済む理由は、ウールの持つ優れた水蒸気の透過性だ。同社の資料によると、ウールは綿のおよそ2倍、ポリエステルの約4倍も優れている。
汗の蒸発を効率的におこない、においのもととなる菌の繁殖を抑えているのだ。綿は保水性が高く、湿ると菌の培養地と化してしまうが、乾きの早いウールはこの心配がない。
ビンテージもののジーンズは、生地が傷むので洗濯しない方が良いという話を聞くが、汗を吸ったまま放っておくと菌が繁殖し、かえって生地を傷めてしまうことになる。
ウールの方が有利だが、完全に菌を防ぐことはできないので、スペック通り100日たったら洗濯するのが良さそうだ。
■カビの恐怖
人間は、何日間風呂に入らずに済むのか?残念ながらギネス世界記録には登録がなかったものの、インドに40年近く風呂に入らない男が存在した。カイラシュ・カラウ・シン氏である。身体を洗わずに過ごせば、男の子を授かるとの予言を信じ実行しているのだ。
風呂に入らず不潔な状態が続くと、皮膚にカビが生える。水虫やたむしを代表とする皮膚真菌症だ。ポピュラーなのは白癬(はくせん)菌で、足なら水虫、つめに入り込むと爪白癬(つめはくせん)のように、さまざまな部分で繁殖する。
なかにはカビと気づかないケースもある。脂漏(しろう)性皮膚炎だ。頭部や顔の皮膚が荒れ、フケのように粉をふく病気で、鼻の周りや頭皮のような皮脂が多い部分に発生しやすい。
皮脂をエサに癜風(でんぷう)菌が繁殖するからだ。肌の乾燥とも思える症状だが、菌の刺激で皮膚がはがれているのだから、対処しないと毛が細くなったり脱毛につながる。
癜風菌は人間の皮膚にいる常在菌なので、誰が発症しても不思議ではない。日焼けによる皮膚のダメージから発生する場合もあるし、ひとによっては首や背中にも広がることもあるので要注意だ。
カビの侵攻は皮膚にとどまらない。体内で起きる深在(しんざい)性真菌症もあるのだ。
常在菌のカンジダが異常増殖すると、口の中に白いコケ状のものが発生する。これがさらに進行するとカンジタ性食道炎に発展し、一部がポケットのように飛び出す食道憩室(けいしつ)や、糖尿病を引き起こすことさえある。
食道憩室は袋小路なので、盲腸と同様に食べ物が入ると詰まってしまい、これが口臭や炎症を引き起こす。
水虫も、放置すると菌が体内に浸透し、白癬菌性肉芽腫(にくがしゅ)を引き起こす。脳に転移する場合もあるというから侮ってはいけない。
■まとめ
人間は細胞よりも多い常在菌と暮らしているので、弱わった身体はかっこうの獲物となる。
今後も風呂なし生活を続けるというから、シン氏の健康を祈りたい。
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─情報元:マイナビウーマンサイト様─