環境省はこれまで温泉に入浴する際の禁忌症としていた「妊娠中」という文言を削除しました。つまり、妊婦も温泉に入って良いことになったのです。
これは、妊婦が温泉に入ると悪影響が起こるという科学的な根拠がないと判断されたからです。ですから、妊婦さんも安心して温泉を利用して下さい。
妊婦が温泉に浸かると良いのはなぜ?
妊婦が温泉に入ると良い効果はたくさんあります。温泉から得られる効能は、大きく分けると「熱」、「浮力」、「成分」の3つがあります。これらの効能は妊婦の体に良い影響を与え、安産の力を高めることにもつながります。
血流を改善する熱の効果
妊婦は、胎児の重さでゆがんだ姿勢になるため、どうしても血行が悪くなりがちです。温泉に浸かることで、体が温まり水圧によるマッサージ効果もあるので、血行を良くする効果があります。
血行が良くなれば赤ちゃんへ栄養を十分に届けることができ、母子ともに体力や免疫力が向上しますから、安産にもつながるのです。
浮力による効果
温泉に浸かると浮力が生じます。首まで浸かったときに生じる浮力は、体重を10分の1にすると言われています。また、水中では水圧がかかり、体は動かしにくくなりますが、水圧によって、体の細かな筋肉が使われるので良い運動になります。また、関節にかかる負担も軽減できます。
お腹が大きいと運動がしにくくなりますが、温泉の中であれば、体が軽くなった分、少しは自発的に動けるようになります。
自発的に動くことは、それだけでとても良いことで、普段動かしにくい筋肉を使い、胎児の重さでゆがんだ骨格や筋肉をほぐす働きがあります。これもまた、妊婦の体を丈夫に保ち、安産につながります。
温泉の成分による効果
一口に温泉といっても様々な種類の温泉がありますが、妊婦さんにお奨めしたい泉質は、アルカリ性単純温泉です。硫黄泉や硫酸塩泉と違い、刺激が少なく湯あたりすることが少ないので体に優しいのです。
また、アルカリ性単純温泉は、水素イオンの濃度が高く、水素イオンは体内の活性酸素や毒物を排泄する働きを促進し、体の免疫力を高め病気にかかりにくくする働きがあります。
さらに、単純温泉といっても、お湯には多くのミネラルが含まれており、皮膚の免疫力を高めたり、皮膚呼吸を活発にするなどの効果があります。こうした効果によって妊婦の気力や体力を回復させ、免疫力を高めるので安産にもつながるのです。
ただし、あまり熱い温泉では、体がストレスを感じてしまうかもしれませんので、ぬるめのアルカリ性単純温泉を利用すると良いと思います。
湯の温度は必ずしも源泉の温度とは限りませんので、実際に入ってみるしかありませんが、周りの人から聞いたり情報を集めたりして、ぬるめのお湯を選んで入ると良いと思います。
また、食塩泉という泉質も良いと思います。食塩泉は海水に似た成分で、舐めると塩辛い味がします。もともと婦人病に良いとされている泉質で、病中病後の身体の回復にも効果がありますので、妊婦さんの体の疲れをほぐすには良い泉質です。
食塩泉は少し熱めのことが多いので、のぼせない程度に入るようにしましょう。湯上がり後でも、体を温める効果が持続します。
妊婦さんが温泉を利用するときに、一番注意しなければいけないことは、滑って転ばないようにすることです。これは自分で注意するしかありませんので、十分気をつけて下さい。
今後は、マタニティー仕様の温泉施設なども増えてくると思います。せっかくですから、有効に使って安産につなげるようにしていきましょう。
http://health-to-you.jp/pregnancy/anzannonsenkounou8107/
─情報元:健康生活サイト様─