ネットワーク・テクノロジーを主導する企業として、積極的にマーケティング部門の改革に取り組んできたシスコシステムズ。同社のマーケティング戦略を統括するカレン・ウォーカー氏に、これからの企業においてマーケティングに求められる役割を語ってもらった。
収益にも責任を持つ
組織へと生まれ変わる
2014年12月で設立30周年を迎えたシスコシステムズ(以下、シスコ)ですが、当社のビジネスを取り巻く状況は、ここ2年で劇的に変化しています。世界金融危機に端を発した経済不況の影響を受け、あらゆる部門において企業収益に寄与することが求められており、これはマーケティング部門に関しても例外ではありません。
私が入社した頃のマーケティング部門は、営業活動を支援する一部門にすぎず、そこではマーケティングにかかるコストが重視される「コスト・センター」のような位置づけでした。しかしいまは、収益を生み出す「プロフィット・センター」へと生まれ変わろうとしています。
かつての伝統的なマーケティングは、テレビや印刷物といった媒体を利用して企業の認知度を高め、ブランドを構築するという考え方が主流でした。しかし キャンペーンであれイベントであれ、それが最終的に新たな顧客を獲得し、収益につながるものでなければ意味がないというのが、現在、当社が掲げるマーケティングのビジョンです。つまり、お客様によりよい体験やサービスを提供させていただくだけではなく、収益にどれだけのインパクトをもたらすことができた のか、またどれだけ営業のプロセスを加速できたのかが当社におけるマーケティングの評価基準となっているのです。
この点において、営業部門とマーケティング部門のゴールは基本的に同じものであるといえるでしょう。
たとえばシスコにおいて、これまで営業部門のリソースは主に大手企業との関係構築に費やされており、中小企業のユーザーにまでは、なかなか手が届きませんでした。これら潜在的な顧客の取り込みをマーケティング部門が分担することで、より細やかで幅広い対応を実現しているのです。ちなみに2013年度において、シスコのマーケティング部門では約28億ドル分のセールス・パイプライン(見込み顧客)を獲得しており、営業部門との連携により、10億ドルを売上げに結びつけることに成功しています。
マーケティングにおける正確な効果測定は当社にとっても非常に難しい課題ですが、どの時点において顧客が反応しているのか、またどの程度の顧客にリーチできているのかを分析するため、ARRRと呼ばれる独自の指標を採用しています。すなわち、 Awareness(認知) 、 Reach(リーチ) 、 Response(反応) 、 Revenue(収益) という4段階の評価基準を設けています。この分析手法により、各段階における顧客の認知度を定量化し、最終的な収益の目標から逆算して、どれだけの顧客にリーチすればよいのかを判断できます。
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http://www.dhbr.net/articles/-/3018
─情報元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューサイト様─