ずっと「インターネット・ディストピア」(暗い未来)の話ばかり書いているので(関連記事)、新年くらいは日本のお正月らしく明るい話をしよう。これから期待できるマスメディア、インターネットの話題である(新聞、地上波テレビ、書籍・雑誌など旧来型マスメディアにはもう明るい未来はないので最初から話題にしません。ごめんなさい)。
この夏、私はパンクロック少年だった十代から苦節30年余にしてようやく長年の夢をかなえた。ロンドンに2週間行って来たのである。米国・アジアなど外国はあちこち取材で行っているのだが、仕事優先で後回しにしているうちにロンドンだけは行く機会がなかった。
それがなぜ今年の夏になって、と問われれば“Love Home Swap”というWebサービスに出会ったからである。直訳すれば「愛と家のスワッピング」。いやいや、決してエッチなサイトではありません。世界の旅行者がそれぞれの家を交換し宿代を節約しようというマジメなサイトなのである。
会員登録したあと「これがリビング」「これがベッドルーム」と東京の自宅の写真を撮ってサイトにアップしておく。そして「旅行に行きたい都市」「行きたい期間」を掲示しておく。すると世界のどこからか「私と家を交換しましょう」という人がメッセージを送ってくる、という仕掛けだ。
私は「ロンドン」「ニューヨーク」「ベルリン」「パリ」など「行きたい旅行先」を登録しておいた。すると5月ごろ、ロンドンに住むレイチェルという30歳前後の女性から「私はトウキョウを訪ねるのが長年の夢でした」と丁寧なメッセージが来た。が、彼女は小学校の教師をしているとかで、7~8月にしか休みが取れないという。困った。こちらは自営業なのだから、休みはいつでも取れる。わざわざ飛行機代が高騰する夏にロンドンまで飛ぶ必要がない。
しかし彼女のアパート(イギリス語では「フラット」)を見て考えが変わった。テムズ川の南、ターミナル駅から2駅という都心から至近の緑深い住宅街、れんが造りのフラットの3階である。当たり前なのだが、まさにロンドンっ子の暮らしそのものではないか。暖炉がありテラスがあり、テムズ川の向こうのロンドンの街に沈む夕日が実に美しい。かつて3年間ニューヨークに住んで分かったのだが、アパートに住み買い物をしてベッドを直しゴミを出す「地元民」になると、その地の暮らしがよく分かる。旅行者としてホテルに泊まるのとはまったく違う体験なのだ。
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─情報元:Business Media 誠サイト様─