ある場所で会議をしていると、その参加者の中からボヤキともとれる発言がありました。日々の成長が実感しにくくなってきたので、仕事が楽しくない気がする。いや、仕事はやりがいがあるし、面白いとは思っているのだけれども、自分自身に力がついてきているという感覚が持てないと。
その話を聞いていて、私は「ああ、キャリアの踊り場にいるということだよ」と説明しました。そう、日々の仕事が問題なくこなせるようになり、組織の中での独り立ちを経て、メンバーの中において重要な位置を占めるようになった人の多くが、似たような状態に陥ります。階段を駆け上がっている状態だったのにもかかわらず、急にフラットな場所に出て戸惑っている感じ。
「状況は理解できました。で、どうすれば次に進めますか?」
そう質問されて、私は「仕事のことに関していうと、組織が次の課題設定をするはず。あなたよりも少し年次が上の先輩を見ていると、その輪郭がおぼろげながら見えてくるはずですよ」と話しました。同時に、いま、日々の仕事が比較的楽にできるのであれば、次の階段を上るための備えをしておいたほうがいいと、申し添えて。
「あえて」成長させない、という選択肢を会社が取る場合もある
こういう話、組織のサイズが比較的大きく、社内の制度なども整っている場合には、それほど大きな問題にはなりません。ビジネスパーソンとしての成長を手助けしてくれるシステムが、わりと整っているからです。しかし、多くの人が恵まれた環境で働いている、というわけではありません。
規模の大きくない企業、もしくはまだそういう制度を整えることに手が回っていない企業などは、キャリアプランも明確でなく、しかも組織そのものもまだデザインされていない状態。となると、そこで働く人も手探りになってしまう。
さらに、部下が踊り場にいると、上司がその状況を理解していたとしても、もうひとつ上を目指すための仕事が用意できない、もしくは今の位置にとどまって日々の仕事を回してもらわないと、組織全体が立ちいかなくなるので、現状維持を「あえて」選択させる場合もあるのです。
そういう状態が健全ではないことを、組織の上長たちも分かってはいるのです。けれども、個人が成長する、もしくは組織が健全に伸びていくことと、日々の業務を滞りなくこなすことを秤(はかり)にかけた時に、どちらが重いのかは、とても難しい問題です。両立するのが理想ですが、現実には「人が足りない」「経験の浅い人が多い」「組織が成長するために必要なスキルを上長たちが持ち合わせていない」など理由はさまざまですが、障害だらけなのです。
...詳しい情報・続きはこちら >>
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1503/09/news038.html
─情報元:Business Media 誠サイト様─