2016年5月13日金曜日

洗脳。その恐ろしい10の手口と実体

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 “洗脳”という用語はエドワード・ハンターというイギリス人ジャーナリストによって考案されたもので、朝鮮戦争中に中国人が捕虜にしたアメリカ兵を”再教育”する方法を指すものだった。

 この用語はやがて信者を服従させるために心理的手法を用いてきたカルト教団と結びつけられるようになった。心理学者マーガレット・シンガーによれば、洗脳を使用することで知られるカルト教団の信者はアメリカだけでも250万人もいるそうだ。

 カルト教団のみならず、人を服従させるためにこれらの手法を使って洗脳していく国家や団体、企業、個人も数多く存在する。ここでは10の洗脳方法をその事例と共に見ていくことにしよう。



10. 歌や詠唱による洗脳

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 マントラの詠唱は多くの宗教で重要な行為である。特に仏教やヒンドゥー教ではほぼすべての寺院で読経などの何らかの詠唱が行われている。信徒による詠唱から生み出されるハーモニーは強い一体感と仲間意識を芽生えさせる。また心拍数を低下させたり、リラックス効果があったりもする。

 しかしカルト教団などで使用される抑揚に乏しいフレーズを繰り返す行為は、思考を鈍らせ、トランス状態を生み出すよう仕組まれたものだ。そうした状態では暗示にかかりやすくなる上、トランス状態を維持できないと罰が与えられることもある。

 心理学者リンダ・ダブロウ=マーシャルとスティーブ・アイケルは、長期にわたって繰り返し催眠状態を誘発する環境に暴露すると、意思決定力や新しい情報を評価する力が損なわれることを明らかにした。カルト教団による継続的な説教や歌、詠唱は意識を改変させてしまうという。こうした手法は瞑想本来の目的でなく、批判的思考を失わせることを意図したものだ。


9. 外部からの孤立

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 1977年、教祖ジム・ジョーンズと人民寺院の1,000人の信者は人里離れた南アメリカのガイアナに移住した。エドワード・クロマティが指摘しているように、こうした孤立は外部の世界で共有される価値観を捨てさせる効果がある。こうしてジョーンズは自らの思想を信徒に植え付ける自由を手に入れた。疑問を抱く者には、薬物で昏睡状態にしたり、首にニシキヘビを巻きつけるといった行為が行われ、子供たちは夜になると井戸の中に入れられた。

 地理的な孤立は精神的な孤立も生み出す。アメリカに残した友人や家族の影響はもはや届かず、従わぬ者には容赦のない罰が与えられた。この状態において、信徒は内心何を思っていたとしても、ジョーンズに黙って従うよりほかなかった。こうした人民寺院における完全にコントロールされた状態は、北朝鮮や1991年以前のアルバニアとも比較される。


8. 依存と恐怖

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 1974年に発生した、シンバイオニーズ解放軍のパトリシア・ハースト誘拐事件は依存と恐怖による洗脳の典型的な事例だ。ハーストは大富豪のお嬢さんから銀行強盗に一気に身をやつし、テログループの献身的なメンバーになってしまった。誘拐された彼女は戸棚に閉じ込められ、いつでも殺すと脅されながら暴力や性的暴行を受けてきた。こうしてシンバイオニーズ解放軍は彼女を完全にコントロールしてしまう。これは「ストックホルム症候群」という有名な症例の典型例でもあり、数ヶ月後にハーストは理想的なほどに献身的なメンバーとして、サンフランシスコで銀行強盗を行った。

 ハーストの逮捕後、検察側は彼女が洗脳されていたことを認めず、7年の懲役刑が下された。しかしカーター大統領は彼女が誘拐の被害者であり、ひどい体験をしていたことから刑期を2年に減刑する。彼女が人よりも影響を受けやすい人物であった可能性もあるが、この事件はストレス下において人格など案外簡単に変わってしまうことの証明である。


7. 運動教育法

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 教師は生徒からいかにして行儀の良さと服従を引き出すのか? その答えは、運動やスポーツを取り入れた指導法にある。夢中になって走ったり跳んだりして疲れた子供たちは、口ごたえをしたり、問題を起こしたりすることが少なくなるのだ。これを知っているカルト集団は、信徒をコントロールするために終わることのない運動を課すことがある。例えば、カルトの疑いがあるイルチブレインヨガは表面的には普通のエクササイズジムだ。また旧ソ連時代にスタジアムで開催された健康体操のようなスポーツイベントは、抑圧的な集団を形成する方法として知られている。

 単なるスポーツと運動教育法との違いは、運動後の高揚感と一体感が通常なら疑念を持つであろう思想の植え付けに利用されているかどうかにある。運動による疲労は、妙な思想への猜疑心を飛ばしてしまう効果があるのだ。


6. 睡眠妨害と疲労

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 感覚への過負荷、方向感覚の喪失、睡眠妨害。これらが組み合わさると人は正常な判断ができなくなる。連鎖販売取引のアムウェイ社は長時間の会合で販売員を睡眠不足にしていると非難されている。そこでは朝から晩まで続く販売指導が行われ、ごく短い休憩もバンドによる演奏が行われるため、大音響と照明でろくに休むこともできない。
 
 睡眠妨害を利用したカルトの手法は、タンパク質や重要な栄養素が乏しい食事とも組み合わされる。結果として、信徒は常に疲労状態にあり、カルト思想に抵抗する気力がなくなってしまう。オウム真理教の地下鉄サリン事件から20年後、ジャパンタイムズ紙は元信者にインタビューし、麻原彰晃の選挙活動を手伝いながら1日に1食しか与えられず、睡眠時間も1、2時間のみだったという証言を得ている。


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─情報元:カラパイアサイト様─