2012年1月12日木曜日

「橋下旋風に潜むリスク」 - 森永卓郎


 私がコメンテータとして出演している朝日放送の「キャスト」というニュース番組に、昨年12月28日、橋下徹大阪市長が中継で出演した。

関西圏のローカル番組なのだが、直後にユーチューブに映像がいくつもアップされたり、2ちゃんねるで採り上げられたりと、ネットの世界ではずいぶん話題になったので、ご存じの方も多いと思う。

「森永卓郎、橋下市長にフルボッコされる」、「この不勉強!森永手も足も出ず」、「笑ってごまかすしかない森永」などなど、そのほとんどが私の不勉強を非難し、橋下市長を絶賛する内容だった。


何があったのかを、簡単に書いておこう。最初に、大阪市役所の解体に賛成か反対かを、コメンテータ全員がフリップに書いた。私は×を書いた。×を書いたのは、私の他に同志社大学の浜矩子教授一人だけだった。

私は、×をつけた理由として、「橋下市長の政策自体は、正しいことが多いが、暴力的な政策の進め方には疑問がある。例えば、労働組合の事務所を役所から追い出すというのは、労働者の団結権や団体交渉権を認めた憲法に違反するのではないか。また、民営化推進というけれど、例えば市営バスはお年寄りの足になっているので、民営化で路線が斬り捨てられる可能性もある」という発言をした。

これに橋下市長が噛みついてきた。「森永さんは、現場の実態がまったく分かっていない。労働組合の活動だけしているのであれば、出て行けとは言いません。彼らは、仕事ではなく政治活動をしていたんです。そんなことをするのであれば、出て行くべきです。バス路線に関しても、福祉として残す必要があるということになれば残します。ただ、一体大阪市営バスにいくら補助金が注ぎ込まれていると思っているんですか」。

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