2012年9月21日金曜日

パナソニック襲撃 「井戸掘った人」松下幸之助氏への恩を忘れた中国


 中国の反日デモは、日系の工場や商店を放火や略奪の対象にし、日中関係の土台となってきた経済活動を直撃している。パナソニックなど、中国経済の飛躍を助け、「井戸を掘った」功績を中国で認められてきた企業ですら被害を免れなかった現実は、中国ビジネスに影を落とすことが避けられない。
 中国に進出した日系企業はこれまでも、現地の情勢混乱や反日デモの影響で、操業停止などを迫られてきた。とりわけ、中国の民主化要求運動が弾圧された1989年6月の天安門事件や、2003年春の新型肺炎(SARS)の流行では、操業停止や駐在員の国外退避が多数の日系企業に及んだ。

 今回の反日デモは、山東省青島や江蘇省蘇州など、政治的な統制が及びにくい地方都市で暴動に発展した。被害を受けたパナソニックやトヨタは、日本の有名ブランドとして現地で親しまれていたことが逆に、暴動の標的となる皮肉な結果を招いた。
 パナソニックと中国の関係は、松下電器産業時代の1978年10月、大阪府茨木市の工場で、創業者の松下幸之助氏が、中国の近代化路線を進めるトウ小平氏(当時副首相)を迎えたときから始まった。
 電子工業分野の近代化を重視していたトウ氏が、「教えを請う姿勢で参りました」と切り出したのに対し、松下氏は「何であれ、全力で支援するつもりです」と全面的なバックアップを約束した。
 松下氏は、改革・開放路線の黎明(れいめい)期に日中経済協力に踏み出した功績で、中国では「井戸を掘った人」としてたたえられてきた。同社が87年に北京で設立したカラーブラウン管の合弁工場は、天安門事件前後の戒厳令下でも操業を続けた。
 今回の事態は、これら過去の功績が、中国での安定した操業を保証するものではないことを印象付けた。中国での企業活動には、「政治」というリスクがつきまとう。日系企業の場合は、繰り返し噴出する反日意識の標的となることが、リスクをより深刻にしている。(山本秀也)

http://news.livedoor.com/article/detail/6964274/
─情報元:産経新聞サイト様─