2013年3月18日月曜日

知っている? 認知症と物忘れの違い


■「物忘れがあるから認知症」は誤り
 私の外来には1日60~70人、多いときで100人を超える患者さんがいらっしゃいます。最近は老若男女を問わず、物忘れが気になると訴える患者さんが多くなってきました。
 「テレビで昨日見た俳優さんの名前を思い出せない。物忘れが多く不安」「大事なものをどこにしまったか忘れてしまう。若年性の認知症ではないか」「漢字が書けないことが多い。自分はボケてしまったのでは……」などなど。
 ご安心ください。このような症状は全てよくある「物忘れ」であり、認知症とは全く別のものとして区別されます。よくある物忘れは、年齢を重ねていくとどうしても出現してくるもの。現代は情報量が非常に多く、記憶機能を持った機械の多い便利な世の中なので、脳機能を使わなくなったことによる物忘れも増えているようです。一昔前なら自分の家の電話番号は誰もが覚えていたと思いますが、最近は自分の携帯番号を覚えていない人が増えているのも、その一例です。



■認知症特有の主な症状とは?
それでは、「認知症」と「物忘れ」の違いはどこにあるでしょうか? 認知症特有の症状を解説します。
□出来事の全部を忘れる
 朝食の内容だけでなく、朝食を食べたという事実自体を忘れる。ただの物忘れでは起こらない。
□記憶障害だけでなく、判断力が低下する
 ごく基本的な情報を忘れて、正しい判断ができなくなる。味付けを甘くしたいから塩を入れなければと判断し、大量の塩を入れるなど、基本的な調味料の役割が分からなくなるなど。料理の作り方の手順や詳細を忘れるだけなら、ただの物忘れ。
□物忘れをしてしまったという自覚がない
 大きな物忘れをしても、自分が物忘れをした、判断ができていないという自覚がない。
□物をなくしたときに、思わぬ発想をするようになる
 物をしまった場所を忘れたり、どこかに置き忘れるのは正常の範囲。認知症の場合は、物が見つからない時になくしたと考えたり探したりせず、誰かが家にやってきて盗んだと強く思い込むなど、被害妄想を始めとする思いもよらない発想をすることが増える。
□季節の感覚がなくなる
 日付や曜日を1~2日くらい間違うのは正常。認知症の場合、全く違う季節と間違えることがある。夏なのに、冬物を着ようとするなど。
□作り話をする
 現実的にはありえない言い訳をしてでも、自分の判断が正しいとその場を取り繕うとすることが増える。
□日常生活が一人でできなくなる
 少々忘れっぽいからといって、一人暮らしをしても何とかなると思える範囲の人の場合、認知症の疑いはまずない。どんな理由であれ、一人暮らしをさせることに周りが強い不安を感じる症状がある場合、認知症の可能性が高まる。

■家族の認知症を早期発見するために
 もし自分が認知症でないか気になって、Webを検索してこの情報にたどり着いたのなら、まずあなたに認知症の心配はないのでご安心ください。認知症になるとあらゆる自覚症状が乏しくなるため、Webを検索したり、その中から適切な情報を選択するという高度な行動をとることはできません。
 ご家族やご友人に気になる症状があり、上記の症状がその人に当てはまると思った場合は、その方を専門医に受診させてください。実際、外来診察でも、自分で「物忘れが気になる」という症状を訴える患者さんは大丈夫なケースがほとんど。「人から物忘れをよく指摘される」という患者さんの方が、認知症と診断されることが圧倒的に多いのです。認知症の場合は、自分のことであっても他人からの指摘の方が参考になることがあります。家族や身近な人の認知症を早期発見するためにも、正しい知識を持っておきましょう。

http://news.livedoor.com/article/detail/7507068/
─情報元:All Aboutサイト様─