しかし、その効果はあっという間に消え失せてしまう。なぜかというと、マンネリ化するからだ。人間の慣れというのは恐ろしいもので、次第に家計簿をつけることだけで満足してしまう。そして、きつく結んでいたはずの財布の紐は、気がつくとユルユルになっている。
とはいえ、家計簿を上手に使いながらお金を貯めている人は何人もいる。では、それができない人との違いは何かというと、彼らは「未来志向」で家計簿を活用しているのだ。
会社経営に置き換えると理解しやすい。儲け上手の会社は3カ年計画や5カ年計画などに基づき、目標の利益額と、その達成に必要な事業の予算を組む。そして、日々のお金の流れを経理で把握しながら予算管理を行い、「売り上げアップを図れ」「予算を絞れ」といったように、その結果を経営活動にフィードバックしていく。つまり、未来の目標達成に必要なやりくりを常に算段しているわけだ。
一方、儲け下手な会社は無計画なまま行き当たりばったりの経営を行い、経理も日々のお金の出入りという過去のデータを記録するだけ。目標がないので、改善しようという意欲も湧いてこない。先ほどの家計簿チェックに話を戻すと、経営計画に当たるライフプランを立てず、漫然と家計簿をつけているのではいつまでも余分な支出に頭を悩ますことになる。「たまたま今月はこれだけ余ったので貯蓄に回そう」といっても嵩が知れており、結局いくらたってもお金は貯まらない。
■いくらなら安心して暮らせるか
何歳のときに住宅を購入し、子どもの教育はどうするかなどライフプランが立てられれば、生涯に必要な生活資金の額がわかる。そして、給与や退職金、それに年金を加えても足りなければ、その分をいまから貯めておく必要がある。たとえば1200万円足りず、定年まであと20年を残しているのなら、1年間で60万円、1カ月では5万円が将来のための貯蓄額となる。
また、サラリーマンなら月々の収入ははっきりしている。それに保険料や住宅費、通信費などの固定費なども把握できる。そうしたら「収入-固定費-将来のための貯蓄額」という計算式から「やりくり費」を求めよう。そのやりくり費の範囲内で生活していけば、生涯安心して暮らすことができるようになる。
そんなやりくり費のなかには、食費、被服代、日用品費のほかに、お父さんのお小遣いも含まれる。ここを切り詰めすぎると日々の生活から潤いが失われ、やりくり算段も破綻をきたす恐れが大きくなるので要注意だ。では、どうするか?
そこで、特にお父さんビジネスマンにおススメなのが、月曜日から日曜日まで1日のスケジュールを縦軸にとったバーティカル型の週間スケジュール帳を活用したやりくり費のマネジメントである。たとえば、毎月のやりくり費のなかから3万円をお小遣いに回せたとしたら、1日当たり1000円、1週間では7000円という予算の範囲内でやりくり算段していくことになる。
そして、このスケジュール帳活用術のいいところは、とにかくシンプルなこと。使ったお小遣いの金額を、使ったその日時の欄に書き込むだけでよい。自分の行動パターンは頭のなかに入っているもので、その時間を見れば何に使ったかをすぐに把握できる。たとえば出勤前、8時30分の120円の書き込みがあれば、すぐに缶コーヒー代とわかる。退社後の21時に2500円の出費があれば、帰りがけに同僚と一杯楽しんだものだ。
また、1週間7000円の予算をオーバーしそうになったら、「朝の缶コーヒーはやめて、会社のお茶で我慢しよう」と改善策を立てやすいのもいいところ。春の人事異動で歓送迎会の機会が増えそうだとわかったら、週1度の同僚との1杯を控え、その分を参加費に充てようと計画していくこともできる。
こうした未来志向に基づいたオリジナルの家計簿を私は「ライフプラン型家計簿」と呼んでいる。また、先ほどのやりくり費を求める計算式のことを「お金の貯まる方程式」と密かに命名して着実に実行している。
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─情報元:プレジデントオンラインサイト様─