かつて「メアド教えて」と言われたら、教えるのはiモードに代表されるケータイメールだった。しかし今や携帯電話メッセージの主役はLINEに取って代わられている。2013年の1月、ある象徴的な出来事があったのだ。
今から10年前、「メアド教えて」といったら、ドコモのiモードやauのezwebといった携帯電話会社(キャリア)のメールアドレスを尋ねることだった。これら通信キャリアが提供するメールサービス、キャリアメールはケータイメールとも呼ばれ、“ケータイ”の普及とともに急速に広がった。日本ではPCよりも先にケータイが1人1台のネット端末になったことや、海外に比べてショートメッセージサービス(SMS)の使い勝手が悪かったこともあり、キャリアメールは人々の生活に欠かせないコミュニケーションインフラになったのだ。
そのキャリアメールが、衰退し、死につつある。
若年層を中心にキャリアメールの利用頻度は下がりつつあり、パーソナルコミュニケーションツールの「王座」から追い落とされかけている。キャリアメールの存在感がなくなりつつあるのだ。
「あけおめメール」はどこへ行った?
「わざわざメールサーバーを増強したのに、肝心のトラフィック(通信利用量)自体が昨年より減ってしまった」
2013年の年始めの話だ。ある大手通信キャリアの幹部が、そう漏らした。その会社では2012年にスマートフォン向けのキャリアメールサービスでシステム障害を起こしてしまい、毎年、元旦に起こる「あけおめメール」による輻輳 (ふくそう、設備の混雑により、つながりにくい状態になること)に並々ならぬ決意で備えていたのだ。
しかし結果は、"肩すかし"だった。
確かに年明け早々、通信インフラの利用量は例年どおり急増した。だが、キャリアメールの利用は前年よりもかなり少なく、メール設備の負荷は想定を大幅に下回った。そのおかげで「うちのメールの輻輳や遅延はほとんどなかった」と、その大手キャリア幹部は苦笑混じりに話す。
あけおめメールはどこにいったのか? その答えは、「LINE」や「Twitter」、「Facebook」など新興のメッセンジャーサービスやSNSにある。これら新たなコミュニケーションサービスに、「あけましておめでとう!」と新しい年が明けてすぐに送る“あけおめメッセージ”が流れ、半面、キャリアメールの利用が著しく減ったのだ。
その一方で、ユニークな変化も見られたという。「年明け早々のメールトラフィックは減少したのだが、実は(夜明け後の)元旦の午前中の利用は減っていない。キャリアメールの位置づけが変わってきたのかもしれない」(大手キャリア幹部)
深夜0時の年明け早々の挨拶需要は、LINEや各種SNSに奪われてしまった。その半面、キャリアメールは年賀状っぽく使われたというのだ。これはキャリアメールが、リアルタイムでパーソナルなコミュニケーションサービスの座を奪われ、インターネットメールのような“普通のメール”という位置づけになってきていることの証左と言えるだろう。
...続きはこちら >>
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1304/17/news032.html
─情報元:Business Media 誠サイト様─