2013年4月18日木曜日

PC用メガネをかける効果・かけないリスク


 私たちのところには、パソコン業務で目がひどく疲れてノイローゼになりそうだとか、実際にノイローゼやうつ病になってしまった患者さんが、10年ぐらい前からそれこそ毎日といってよいぐらい来るようになりました。

 最近メガネを扱う各社から、「パソコン用メガネ(ブルーカットグラス)」が発売されていますが、眼科医としても、この流れには賛成です。

 パソコンや携帯、スマホ、テレビなどを見る時間が多い方は、目の健康のためにも適したメガネを装用することをお勧めしたいと思います。
コンピューターグラス CG-012

■目の疲れだけではない可視光線の悪影響

 現代は、目にとってものすごく不健康な時代です。パソコンを使って仕事をすると、ものすごく目が疲れますね。紙で仕事をしても目は疲れますが、ここまでは疲れません。これは一体なぜでしょうか?

 パソコンは「可視光線(いわゆる「光」)」を発しています。可視光線を感じると、瞳が収縮します。瞳が収縮しているということは、瞳を収縮させる筋肉である瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)を常時使っているということで、当然瞳孔括約筋がものすごく疲れます。この瞳孔括約筋の疲れ自体を私たちは目の疲れと感じているのではないかと私は考えています。(証明が困難なのですが、2009年に眼科診療の経験にもとづいて立てた仮説です)


■将来的に高まる「黄斑部変性症」のリスク

 目が疲れるぐらいならまだ良いのですが、将来的な目の病気も気になります。可視光線の中には網膜にとって有害な光と無害な光がありますが、我々パソコンを使っている世代は、知らず知らずのうちに有害な光を網膜に浴びてしまっているので、将来「黄斑部変性症(おうはんぶへんせいしょう)」になるリスクが高くなっていると考えられます。近い将来では、黄斑部変性症の前症状であるといわれる「中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)」の増加も心配です。

 網膜は、「光を感じるたびにいたみ、光を見ていないときに修復される」ことを繰り返しています。強い光を見たら残像が見えるでしょう。あれが見えているときは網膜がすごく悪い状態になっているわけです。そして、あまりに強い光を見ると、網膜が再起不能になってしまします。例として、皆既日食の見すぎや、レーザーポインターでの網膜光障害が挙げられます。強い光を見なくとも、この修復のシステムが狂ってしまい、網膜がどんどんいたんでくるのが「黄斑部変性症」です。後天的な広義の黄斑部変性症広義には、以下のものがあります。

・加齢でなる、加齢性黄斑部変性症 (狭義の黄斑部変性症)
・近視の30代ぐらいの女性に多い、近視性黄斑部変性症
・40~50代の男性に多い、黄斑部の前症状であると言われる中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)

 どれも本質的には体質が原因ですが、現代人のパソコンの使いすぎ、テレビの見すぎによる光の増加が関係していることを100%否定できる医師はだれもいないでしょう。個人的には、特にパソコンの悪影響は非常に高いのではないかと見ています。現代は、目にとってものすごく不健康な時代であるわけです。

■PC用メガネ(ブルーカットグラス)でできる目の保護

 体質は変えられませんから、その予防、なってしまった人はその改善のために工夫しましょう。一番よいのはパソコンやテレビを見ないことですが、なかなか難しいのが現実。普段からできる対策として一番簡単で安上がりな方法が、PC用メガネで眼を保護する方法です。

 冒頭で書いたような患者さんたちの治療ですが、どうするかと考えたとき、仕事を休ませるわけにもいかず、点眼も効かず、眼科医としても対策はブルーカットグラスを使うしかない、という話になりました。

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http://news.livedoor.com/article/detail/7599706/
─情報元:All Aboutサイト様─