生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(アイリス、仙台市、非上場)は、この5月に大阪・梅田に「大阪R&Dセンター」を開設した。パナソニックやシャープなど関西のエレクトロニクスメーカーから転じた技術者を即戦力として採用し、20人体制で空気清浄機、加湿器など国内向け白物家電の新製品開発に当たる。アイリスの大山健太郎社長は「大阪で(大手メーカーから)放出された優秀な人材を採用することで、商品開発をスピードアップしたい」と述べた。同社はジェネリック家電の代表格である。
家電大手の不振が続くのを横目に、存在感を高めているジェネリック家電は、そもそもアジアなどの知名度の低いメーカーが製造する家電製品のことだった。低価格を売りにしてきたが、ここへきて国内勢が参戦。品質を含めた商品力でも大手メーカーを追い上げている。テレビ、音響機器から扇風機や電子レンジ、ドライヤーなど、製品も多様化している。特許が切れた医薬品(先発医薬品)と同じ成分で別のメーカーがつくる薬をジェネリック医薬品(後発医薬品)というが、それになぞらえてジェネリック家電と呼ばれている。
あまり名を聞いたことがないメーカーが製造する激安商品は、一部のホームセンターや通販でしか取り扱われていなかったが、最近では家電量販店が積極的にジェネリック家電を販売するようになった。
というのも、ここ2年で国内の家電市場は10兆円から8兆円に縮小。地上デジタル放送の移行に伴う特需の反動で、薄型テレビの販売台数が激減したのが原因だ。パナソニック、シャープ、ソニーなどのエレクトロニクスメーカーのテレビ事業は巨額赤字に沈み、群雄割拠の家電量販店は再編の動きが強まった。
メーカーと量販店は持ちつ持たれつの関係だったため、量販店はメーカーがいやがるノーブランド品を扱わないという暗黙のルールがあった。しかし、背に腹を代えられなくなった家電量販店がジェネリック家電を積極的に販売するようになった。
メーカーは業績が急激に悪化。テレビに続くヒット商品を生み出せないでいる。一方、消費者行動にも変化が生まれた。メーカー品以外には目を向けなかった消費者たちが、ノーブランドでも品質がよければ買うようになった。ブランドより価格で選ぶ傾向が強まったのだ。
今、量販店のテレビ売り場の一番目立つ場所には韓国製の薄型テレビが並んでいる。数年前までは考えられなかったことだ。量販店は競争力を失った国内のメーカー品に見切りをつけ、売り上げが伸びている韓国製で稼ごうと、売り場の構成を変更したのである。
●国内企業の相次ぐ参入
消費者と売り手の意識の変化を背景に、ノーブランドのジェネリック家電が台頭してきた。これまでは中国や韓国製などが多くを占めていたが、急激に国内企業が取り組みを強めている。
工作機械・産業用機器の専門商社、山善(大阪市、東証1部上場)も、YAMAZENブランドで家電事業に進出し、同社製品は量販店で広く販売されている。特に、扇風機は扱いが多い。毎年開催される商談会「どてらい市」は、創業者の山本猛夫氏をモデルにした小説『どてらい男』(角川書店)にちなんだものだ。
山善の2013年3月期の連結売上高3703億円のうち扇風機や暖房機などの家庭機器事業の売り上げは745億円。全体の2割を占めるまでになった。
米大手小売りにOEM(相手先ブランド)でテレビなどを販売している船井電機(大阪府、東証1部)もジェネリックに比重を移しつつある。
アイリスの前身は1958年に大阪府東大阪市で創業したプラスチック製品の町工場・大山ブロー工業。64年に父親が急逝したため、大山健太郎氏が19歳で事業を引き継ぐ。家庭用の半透明収納ケースが爆発的にヒットしたことから、広い敷地をもつ仙台市に本拠地を移転。91年に現在のアイリスに社名を変更した。
家庭用プラスチック製品を主に、収納・インテリア用品、ガーデニング用品、ペット用品など扱い品は多岐にわたる。納入先は全国のホームセンターだ。大山社長の商品開発のモットーは「大手のすき間をつけ」。家電に進出したのは05年10月。シャープとの共同開発でペットと暮らす家庭向けの空気清浄機を発売した。人感センサー付のLED照明や配管工事不要の2口IHクッキングヒーター、「サイクロンクリーナー コンパクト超吸引毛取りヘッド」など大手のすき間をつくヒット商品を連発した。LED照明では大手の一角に食い込んでいる。同社の12年度のグループ売り上げは2500億円に上る。
研究開発拠点は宮城県内の1カ所のみで、技術者の確保が難しかった。「大阪R&Dセンター」を開所し、開発能力に優れたベテランの技術者を採用。これをテコに13年度の家電売上高は前年度比8割増の300億円に拡大する計画だ。
家電量販店でジェネリック家電を買う時代がやってきた。リーディングカンパニーを自称する日本の家電メーカーにとっては、ますます厳しい状況となりつつある。
http://biz-journal.jp/2013/07/post_2514.html
─情報元:ビジネスジャーナルサイト様─
家電大手の不振が続くのを横目に、存在感を高めているジェネリック家電は、そもそもアジアなどの知名度の低いメーカーが製造する家電製品のことだった。低価格を売りにしてきたが、ここへきて国内勢が参戦。品質を含めた商品力でも大手メーカーを追い上げている。テレビ、音響機器から扇風機や電子レンジ、ドライヤーなど、製品も多様化している。特許が切れた医薬品(先発医薬品)と同じ成分で別のメーカーがつくる薬をジェネリック医薬品(後発医薬品)というが、それになぞらえてジェネリック家電と呼ばれている。
あまり名を聞いたことがないメーカーが製造する激安商品は、一部のホームセンターや通販でしか取り扱われていなかったが、最近では家電量販店が積極的にジェネリック家電を販売するようになった。
というのも、ここ2年で国内の家電市場は10兆円から8兆円に縮小。地上デジタル放送の移行に伴う特需の反動で、薄型テレビの販売台数が激減したのが原因だ。パナソニック、シャープ、ソニーなどのエレクトロニクスメーカーのテレビ事業は巨額赤字に沈み、群雄割拠の家電量販店は再編の動きが強まった。
メーカーと量販店は持ちつ持たれつの関係だったため、量販店はメーカーがいやがるノーブランド品を扱わないという暗黙のルールがあった。しかし、背に腹を代えられなくなった家電量販店がジェネリック家電を積極的に販売するようになった。
メーカーは業績が急激に悪化。テレビに続くヒット商品を生み出せないでいる。一方、消費者行動にも変化が生まれた。メーカー品以外には目を向けなかった消費者たちが、ノーブランドでも品質がよければ買うようになった。ブランドより価格で選ぶ傾向が強まったのだ。
今、量販店のテレビ売り場の一番目立つ場所には韓国製の薄型テレビが並んでいる。数年前までは考えられなかったことだ。量販店は競争力を失った国内のメーカー品に見切りをつけ、売り上げが伸びている韓国製で稼ごうと、売り場の構成を変更したのである。
●国内企業の相次ぐ参入
消費者と売り手の意識の変化を背景に、ノーブランドのジェネリック家電が台頭してきた。これまでは中国や韓国製などが多くを占めていたが、急激に国内企業が取り組みを強めている。
工作機械・産業用機器の専門商社、山善(大阪市、東証1部上場)も、YAMAZENブランドで家電事業に進出し、同社製品は量販店で広く販売されている。特に、扇風機は扱いが多い。毎年開催される商談会「どてらい市」は、創業者の山本猛夫氏をモデルにした小説『どてらい男』(角川書店)にちなんだものだ。
山善の2013年3月期の連結売上高3703億円のうち扇風機や暖房機などの家庭機器事業の売り上げは745億円。全体の2割を占めるまでになった。
米大手小売りにOEM(相手先ブランド)でテレビなどを販売している船井電機(大阪府、東証1部)もジェネリックに比重を移しつつある。
アイリスの前身は1958年に大阪府東大阪市で創業したプラスチック製品の町工場・大山ブロー工業。64年に父親が急逝したため、大山健太郎氏が19歳で事業を引き継ぐ。家庭用の半透明収納ケースが爆発的にヒットしたことから、広い敷地をもつ仙台市に本拠地を移転。91年に現在のアイリスに社名を変更した。
家庭用プラスチック製品を主に、収納・インテリア用品、ガーデニング用品、ペット用品など扱い品は多岐にわたる。納入先は全国のホームセンターだ。大山社長の商品開発のモットーは「大手のすき間をつけ」。家電に進出したのは05年10月。シャープとの共同開発でペットと暮らす家庭向けの空気清浄機を発売した。人感センサー付のLED照明や配管工事不要の2口IHクッキングヒーター、「サイクロンクリーナー コンパクト超吸引毛取りヘッド」など大手のすき間をつくヒット商品を連発した。LED照明では大手の一角に食い込んでいる。同社の12年度のグループ売り上げは2500億円に上る。
研究開発拠点は宮城県内の1カ所のみで、技術者の確保が難しかった。「大阪R&Dセンター」を開所し、開発能力に優れたベテランの技術者を採用。これをテコに13年度の家電売上高は前年度比8割増の300億円に拡大する計画だ。
家電量販店でジェネリック家電を買う時代がやってきた。リーディングカンパニーを自称する日本の家電メーカーにとっては、ますます厳しい状況となりつつある。
http://biz-journal.jp/2013/07/post_2514.html
─情報元:ビジネスジャーナルサイト様─