友人の身内が亡くなって葬儀に参列した。喪主を務める友人を見て、自分が同じ立場になったときに何を考え何をすべきなのか、何も知らないことに気づいた。
そもそも、基本的に普段は無宗教で生きている自分が、お葬式のときだけ○○宗とか仏式になってもいいのか? 戒名は? お墓は? お金はいくらかかる?
「香典っていくら包めばいいの? 袋に書くのは御佛前? 御霊前?」
そのくらいなら親に聞けば分かるが、その先については、少し勉強しておくべきではないのかと思う。
『知っておきたい日本人のお葬式』(洋泉社編集部・編/洋泉社)、葬儀の手順はもちろん、本来の葬儀の意味や意義、多様化する現代の葬儀スタイル、葬儀後の相続に関するお金の話など、まさに知りたいことが幅広く紹介されている。
どの記事にも共通しているのは、お葬式は、故人をあの世へ送り出すための儀式であると同時に、生きている人のためのもの、という意識だ。その上で、送る側の人が避けて通れない「お金」の話にもグッと踏み込んでいる。
例えば「一般葬」の見積書には、葬儀費用、火葬費用、車両費用、式場費用、飲食接待費用などの文字が並ぶ。これに加えて、戒名や墓の費用なども別途必要になる。仮に、葬儀などの宗教儀式を行わず火葬するだけの「直葬」の場合でも、火葬費だけは必要になる。とにかく人の死とお金は無縁ではない。そして、お金とトラブルも無縁ではない。
国民生活センターに寄せられる葬儀関係の相談は、2003年度187件、2012年度702件と、10年間で約3.8倍になっているという。「断りなく高額なサービスが追加されていた」「セット料金の内容が不明瞭なまま、追加料金が発生した」など、高額請求をされてしまうケースが多々ある。もちろん、葬儀社の担当者と相談しながら葬儀の準備を進めているはずなのだが、なぜトラブルが起こるのか? 本書には「葬儀施行担当者」の打明け話も掲載されており、そちらを読むと「さりげなく高いサービスを勧める」とか「上司から“この立地だったらもうちょい上を狙えるんじゃないの?”と厳しい指摘をされる」など、業者側の思惑もあって、葬儀における「お金」の話が一筋縄ではいかないことが分かる。
そんなトラブルに巻き込まれないため、本書が掲げる「葬儀社選びのポイント」は……
(1)店舗を構えている
(2)見積書をすぐに出してくれる
(3)見積書に曖昧な金額がない
(4)要望通りの見積書を作ってくれる
(5)専任の担当者がついてくれる
詳細は本書を読んでいただきたいが、これに加え「2社以上に見積もりを依頼する」のもポイントだ。
悲しんだり、思い出したりする時間もないままに葬儀代のことを考えるのは辛いし、金額の大小で故人への気持ちまで量られてしまうようで、ついつい葬儀社にすべてを丸投げしがちだが、後にトラブルになれば故人の最後の思い出に嫌な記憶が付け足されてしまう。可能なら、生前から準備を。そこまでは割り切れないというのなら、大切な人を失った悲しみの中でお金のことも含めてあれこれ考えることも、故人と自分の別れの儀式のひとつだと考え、正面から受け止めたいものだ。
ちなみに、香典についての簡単な話。
香典の相場は──
・親 10万円
・兄弟姉妹 5万円
・祖父母や親戚 1万円
・友人や仕事関係など 5000円
香典袋の書き方は──
・基本的にはどの宗教でも「御霊前」なら失礼には当たらないが、「キリスト教のプロテスタント」「浄土真宗」は注意が必要。
・プロテスタントの場合=「お花料」「献花料」。のし袋に水引きはかけない。
・浄土真宗の場合=「御仏前」(死後すぐに成仏するという考えから)
あなたは人に聞かなくても分かりますか? 筆者は……勉強します。
http://news.livedoor.com/article/detail/8475490/
─情報元:ダ・ヴィンチ電子ナビサイト様─