防犯ビデオに映った万引き犯の画像を公開するぞ――というショッキングがニュースがあったが、コンビニでも万引きの被害に悩まされている。最近は万引き以外にも、ある“問題”が増えているという。それは……。
─情報元:Business Media 誠サイト様─
防犯ビデオに映った万引き犯の画像を公開するぞ――というショッキングなニュースがあった(「万引き」という言葉は嫌いだが、今回は便宜上使用する)。結局は公開せず(逮捕後は公開された)、容疑者はあえなく逮捕。犯人と思われる男性の画像を公開したら「逆に名誉棄損で訴えられる」などと言われていたが、もし公開したらどうなっていたのだろうか。例えば、マスコミはどう報じたのか。一般の人たちはどのように受け止めたのか。本当に万引きの抑止力として効果はあったのか。
そんな疑問は分からないままドタバタ騒動は終結。普段から万引きなどさまざまな犯罪行為に悩まされているコンビニにとって、この問題は他人事ではない。今回は、コンビニの店舗で起きている犯罪行為について紹介しよう。
万引き犯は「成人」が多い
警察庁が発表している「平成25年の犯罪情勢(PDF)」によると、万引き犯の検挙数は8万5464件。認知件数は12万6500件なので、検挙率としては67.6%となる。筆者は事件に関する専門家ではないので、検挙率が高いかどうかは分からない。しかし、警察が認知した件数のほとんどは、万引きの被害を受けた店からの通報によるものだろう。
警察は「検挙数」などと偉そうに発表しているが、そのほとんどが店による現行犯逮捕によるもの。「万引き=現行犯逮捕じゃないとダメ」と思われている人も多いかもしれないが、冒頭で紹介したケースのように、警察がちゃんと動けば、現行犯でなくても逮捕はできる。
現在の防犯カメラの性能は素晴らしく、レジでやりとりされるお札の柄までしっかりと認識できる。当然、人の顔の認識は可能であり、万引きをする瞬間と犯人の顔さえ映っていれば完璧な証拠となる。万引き犯は“逃げたら勝ち”などと思わないほうがいい。
万引きはどういった人たちが行っているのか。多くの人は「若者」「学生」を想像するかもしれないが、現実は違う。万引き犯の80%以上は「成人」。この数字を知ると、「いい大人がなぜ万引きなんてするんだろう?」と思われるかもしれないが、この発想に根深い問題が潜んでいると思っている。
子どものころに万引きをした→しかし、大きな問題にならずに済んだ→だから、大人になっても万引きを軽くみる。こうした流れがあるのではないだろうか。
警察庁の発表(平成25年)によると、万引きによる少年の検挙数は1万6741件。しかし、実際に少年犯罪として捕まるのは5058件である。ということは、70%ほどの少年は万引きを犯しても、親からゲンコツをもらって終わりなのだ。いや、今の時代、ゲンコツすらもらうことなく、大人になっているのかもしれない。
店内で万引き犯を見つけた
なぜ万引き犯はこれほど多いのだろうか。その理由のひとつに、店内での逮捕が事実上不可能だからではないだろうか。商品をポケットに入れた瞬間に取り押さえることができればいいのだが、店舗敷地の外にでなければ確保することができない。
コンビニの場合、ほとんどの時間を2人体制で運営している。客が商品をポケットに入れた瞬間、もしくは店内にいる間に抑えられればいいのだが、外に出るまで待たなくてはいけない。そうすると、お客さんの対応に追われた場合、犯人を逃すこともあるのだ。
以前こんなケースがあった。
店内で万引き犯を見つけたが、その日は人手不足で逃してしまった。先ほど紹介したように、他のお客さんの対応に追われている間に、犯人は逃げてしまったのだ。
「チキショー」と思っていたら、なんとその犯人、翌日も店にやって来たのだ。「もー我慢ならねえ」と心を抑えることができず、犯人に近寄って「あなた、昨日万引きをしまたよね?」と問い詰めた。すると、犯人はその日も万引きをしようと思ったらしく「スイマセン」と“完落ち”して、ポケットから商品を出してきたのだ。
筆者は警察を呼んで、犯人を突き出した。しかし、警察からは「店の外に出てないの? じゃあ犯罪は成立しないねえ」と言われたのだ。
あなりにも理不尽なことを言われたので、「じゃあ、昨日の万引きはどうですか? 店の外に出てますよ」と反論。昨日の万引きを行っているシーンが映っている映像を見てもらって、警察に被害届を出すことにした。
防犯カメラには、犯人が商品をポケットに入れて、会計をせずに店外に出るシーンがバッチリ映っていたので、被害届が正式に受理された。コンビニオーナーとしてはひとまず溜飲を下げることができたが、店内で万引きをしているところを取り押さえても犯罪が成立しないことを肌で実感した。
万引き防止策
万引きを防ぐために、コンビニの店舗ではいろいろな対策を練っている。筆者の店では、以下の3つのことを取り組んでいる。
・お客さんの顔を見て、あいさつする
犯罪者というのは顔を見られることを嫌がるらしい。そこで、顔を見てあいさつすることで未然に犯罪を防ぐようにしている。これは、強盗事件の防止にも共通している。
・商品をキレイに並べる
キレイに並んでいる商品郡から1つ盗むというのは、精神的にプレッシャーがかかるようだ。コンビニの作業に“前出し”(バラバラに並んでいる商品をキレイに整頓すること)があるのはそのためだと言ってもいい。
・カゴを持っていない人にカゴを薦める
商品を落とさないようにという意味合いもあるが、どちらかというと「あなた商品を手に取りましたよね。見ましたからね」という念押し。これによって、万引き犯が商品だけを持って、物陰でポケットやバックに入れることを防ごうという作戦だ。
ここまで読んでいただいて、勘のスルドイ読者は、気付かれただろう。店舗で行われている3つの対策は、万引き初心者にしか通用しない。常習犯には、これらの対策は通用しないので、なかなか万引きが減らないのだ。
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