その迷惑駐輪、見られてますよ-。
─情報元:ライブドアニュースサイト様─
放置自転車の撲滅を目指し、神戸市が人の目元の写真を用いたユニークな“目力”看板を設置するなどの社会実験を実施中だ。兵庫県警科学捜査研究所も協力し心理学を駆使した看板で、設置場所の放置自転車が以前の約1割にまで激減するなど効果はてきめん。「これほどまで効果があるとは」と担当者は驚きを隠さないが、一方で、神戸は洗練されたイメージでファッション都市として定着しているだけに「神戸の景観にふさわしくない」との批判も。さらに、見ようによっては四六時中、通行人に「メンチをきっている(=にらみつける)」状態でもあり、「子供が泣く」との苦情も寄せられているといい、議論を呼んでいる。(有年由貴子)
■看板で「にらみ」きかす
買い物客や観光客らでにぎわう神戸の玄関口・三宮。そのすぐ南にある神戸国際会館南側の歩道に、11月中旬、男性の目元をアップにした写真の看板が立てかけられた。
高さ約1メートルと約60センチの2種類の看板計12枚が、抜群の“目力”で、自転車で行き交う市民に「にらみ」をきかす。
そばを通りかかった同市垂水区のアルバイトの女性(51)は、看板を見て「じっと見られている感じがして、避けたくなりますね」と苦笑いを浮かべた。
なぜ、“目力”の看板なのか-。
その理由は、市が頭を悩ませ続ける放置自転車にあった。
市は、市内最大のターミナル、JR三ノ宮駅周辺エリアを放置自転車禁止区域に指定している。禁止地域では放置を見つけ次第撤去するのに対し、区域外では7日以上たたないと撤去できない。このため、区域外付近に自転車やオートバイ、バイクを放置するケースが多発し、歩行者の通行を妨げていた。
■科捜研も登場、心理学駆使
こうした放置自転車対策に頭を悩ませていた市は、兵庫県警科学捜査研究所に相談。心理学の担当職員とタッグを組んで、今年7月末から社会実験に乗り出した。
神戸国際会館前は、放置自転車禁止区域と区域外の境界付近で、市内でも放置自転車が目立つ場所の1つ。市は対策として、この場所に放置自転車が撤去される状況を写した写真や放置自転車の台数のグラフなどさまざまなパターンの看板を約2週間ずつ期間を区切って設置した。
その中で登場したのが、“目力”看板だった。
“目力”看板は、「誰かに見られている」との深層心理に訴える手法。市の担当者が、ある海外のインターネットサイトに掲載されていた、駐輪場に目のポスターを貼ると自転車盗が減少した-という記事を読んで、思いついた。
モデルには、市の担当課で「最も目力が強い」と言われる若手男性職員(25)を抜擢(ばってき)。この看板の効果はてきめんで、市によると、5~7月に実施した調査では、放置された自転車やオートバイなどは1日30~40台だったが、“目力”看板12枚を設置以降、1日3~15台にまで激減した。
モデルの男性職員は「まさかこんなに効果があるなんて。当初は自分の顔が並んでいるのは恥ずかしかったが、放置自転車対策のために一肌脱ぎました」と照れ笑い。「目力よりも、まゆ毛の濃さが効果的だったのでは」と分析している。
■効果アリも苦情相次ぐ
予想を上回る効果が表れた“目力”看板。しかし、市の担当職員は手放しではこの成果を喜べていない。
インパクトの強いデザインだけに、マスコミに大々的に取り上げられたことで、市民からの苦情メールや電話が相次いだからだ。
「『デザイン都市』を掲げる神戸市の景観には、いかがなものか」
「にらまれているようで怖い」
「子供が泣く」
ネット上でも話題になったが、掲示板には否定的な意見が並んだ。動画投稿サイト「You Tube」には、一般人が市に「市民にケンカを売っているのか」と抗議電話をかける映像もアップされた。
しかし、好意的な見方も多く、ニュースを見た県外の人から「自分の描いたイラストを使ってはどうか」と目元の絵を添付したメールが送られてきたこともあった。
“目力”看板は現在撤去されたが、市は今後、その効果を詳しく分析する予定だ。年明け以降は、放置自転車の台数の掲示や小学生が描いた絵の看板を取り付けるなどして、それぞれの効果を個別に検証する。分析次第では、また“目力”看板が再登場する可能性もあるという。
担当者は「ファッション、デザイン都市としての景観を損ねず、かつ効果的に放置自転車をなくすのはとても難しい。いろいろなバージョンを複合させて、ベストなものを考え出していきたい」と話している。
http://news.livedoor.com/article/detail/8369291/─情報元:ライブドアニュースサイト様─