先日、ある企業の若手管理職と話す機会がありました。仕事で結果を出し続けた彼に対し、そろそろマネジメントを任せたいという組織の意向がハッキリと分かる配属の結果、彼は壁にぶち当たってしまったというのです。
「部下の不満をうまくガス抜きすることができないのです」
「飲みニケーションがいいと聞いたのですがと」か細い声で言いながら、「自分はそういうことを上司にされた経験がないし、されたとしても嫌だったと。一緒にご飯を食べよう、ちょっと飲みに行こうと、気軽に誘えないし、誘ったとしても、どう振舞っていいのかよく分からない」と続けます。
研修などで、上司としてやるべきことはある程度レクチャーを受けた。部下を評価し、育てる方法も伝授された。しかし、部下とどう付き合ったらいいのか、それが分からないというのです。
こういうことを書くと「そういうヤツを管理職にしようと考えている企業がバカなのだ」というお叱りを受けそうですが、こういうタイプは急増しています。このコラムの読者の中にも、気が付いている人もいるかもしれません。上司から一定量のコミュニケーションを持たれた経験を持つ部下は、以前と比べて少なくなりつつあります。
例えば「叱り方が分からない」という管理職の多くは、自分自身が部下だったときに、あまり叱られた経験がなかった、というのは、よく聞く話。優秀で仕事はできる、でも「部下としての経験」が不足している人たちが増えているのです。
こういう話は「プレイヤーとしては、きわめて優秀だったけれども、マネージャーとしての資質がなかったということ」だと片付けてしまいがちですが、それでは問題は解決しません。叱ることもできないし、その前に部下のガス抜きをする技術もない。そんな上司を作り出す原因と、だからどうすればいいのかという話を今週はしたいと思います。
「人間力」という曖昧なワードを避け続けた結果……
部下とうまく接することができない上司の周辺で話を聞いていると、その不満は一言に集約されます。
「人望がない」
極めてシンプルな一言ですが、核心を突いています。「人望」を辞書で引くと「他人から寄せられている、信頼、崇拝、期待の気持ち」ですから、崇拝はもちろんのこと、信頼もされていない、期待も集められていないのでしょう。だから、部下と上手く接することができないのだと。
似たような言葉で「人間力がない」から、上司としてはダメなのだという声も聞こえてきます。冒頭で例に挙げた、部下のガス抜きができない上司もそのことは自覚していて、次のようにぼやきます。
「人望がないのは自覚しています。人間力についても、備わっていない、もしくは一部が欠落しているという自覚もあります。だからこそ自分の強みを磨き、誰にも負けない領域を確保して、目に見える結果を出してきたわけです。だいたい、人間力ってどういうことなのでしょう。具体的な指標もないし数字としても表せない。曖昧で、対象者によって変化することを備えろと言われても無理だと思いませんか?!」
最後は心の叫びのようになっていました。自分自身の強みを理解して、ストロングポイントをさらに強化することで、苦手なことを避けてきた結果、回避できたと思っていた苦手なことが最終的に目の前に現れて、立ち往生してしまったということです。努力を怠った結果、不幸な事態になってしまったのではなく、自分なりにきちんと頑張ったのにもかかわらず、その頑張りが自分を追い詰めることになったと。
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─情報元:Business Media 誠サイト様─