笑顔の練習、話題の収集、すべてムダな努力かも!?
人と話をするのが苦手な人ほど、上手に話しをしたいと思っている。かつての私がそうだった。面白おかしく話ができないと、会話にならないと信じ込んでいたのだ。
そのためにやったのは、会話教室に通うこと。見知らぬ人と大きな声で笑顔で話す練習をさせられた。そこに来ている人はみんな会話下手だったので、ムリな笑顔とムリな大声が室内に蔓延していた。それでも講師の人は、「どうですか、笑顔で話すと気持ちいでしょ」と言うのだが、私はむしろ気持ち悪かった。
それから、話題がないから話せないのだと思い、あまり興味のないニュース記事や、一般常識レベルの雑学の本を読んだりしていた。
話がうまい人は、とにかくいろんなことを知っていると思っていた。私は、とくに趣味もなく、得意分野などもなかったので、これといって専門で話ができることなどなかった。だから話題が少ないのだと思っていた。
でもどんなに雑学の知識を脳に植え付けたところで、それを使う機会はやってこない。タイムリーに話題を出せるようになるには、いったいどれだけの本を読まなければいけないのか。しかも自分にとって興味のない本を。
それでも、会話を上手にしようと思ったら、それ以外の方法は思いつかなかった。会話をするときには、相手と同等に話をする必要がある。これも、かつての私が信じ込んでいたことだ。
だから、相手が話したら、それと同じくらいの文字数で言葉を返さなければならない。本当にそう思っていたのだ。こちらもなにかしゃべらないと、相手に失礼だとも思っていた。ただうなずいて、聞いているだけではダメだろうと。
すると、相手がしゃべっている最中に、次はこちらがしゃべる番だから、何を話そうかなどと考えたりしている。その結果、相手の話している内容に集中せず、上の空で聞いてしまうことになる。
当然、リアクションも薄くなる。私は営業で商談しているときも、ときどき、ボーっと相手の話を聞き流していることがあった。次に何を話そうかなどと考えていると、いつもそうなってしまう。おそらく相手にもバレていたことだろう。
「こいつは人の話を聞いてないな」と心の中で思われていたに違いない。そうして自分でも気づかないうちに、たくさんの商談をダメにしていたのだ。
でも今ではそんなことはなくなった。相手と対等に話をしようとも思わない。それどころか、面白い話をしなければなどとも考えなくなっている。
私が普段から心がけていることは、“いかに相手にしゃべってもらうか”この一点だ。
これは私の経験値だが、人はしゃべるほどに心を開いてくれる。どんなに気難しい人でも、しゃべってもらうようにすると、どんどん表情が和やかになってくる。しゃべることって気持ちがいいものなのだ。私は普段から無口なのだが、そんな私でもしゃべると気持ちが良くなる。それは、こんな無口でしゃべり下手な私の話でも、聞いてくれる存在があるからだ。
自分を受け入れてくれる。そんな気持ちにさせられて、相手に対して心を開いていく。セミナーなどで話すときでも、相手が真剣に聞いているのがわかると、つい時間を忘れて話している自分がいる。あれもこれも言いたくなってくるのだ。こんな私でさえも。
ということは、相手がお客さまだろうがなんだろうが、とにかくしゃべってもらえるようにしたほうが、良い結果になることに私は気づいた。コミュニケーションや信頼関係も、相手にしゃべってもらうことで、すべてが解決するとまで思っている。
そこで、視点が変わった。これまでは、いかに自分がしゃべるかに重点が置かれていたが、そうではなくて、どうしたら相手にしゃべってもらえるかを、重視するようになったのだ。
そこに相手に話してもらう技術が存在する。
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─情報元:まぐまぐニュース!サイト様─