米国はアフガンからの撤退を開始し、911からアフガン、イラク戦争と続いた大規模軍事介入の時代は終わる。そして米国は、莫大な財政赤字の削減や景気回復・雇用創出という国内問題に忙殺され、国際安全保障の世界で急速に影響力と指導力を落としている。
これまで国際政治の中心にあったワシントンは機能不全を起こし、ここで語られていることと、世界のホットスポットで進行する現実との間のギャップがますます大きくなっている。ワシントンが「メルトダウン」を起こし、それまで米国が半世紀以上の長きに亘って力で維持してきた秩序が崩壊し、まるで核分裂の連鎖反応が起こるかの如く、世界各地で制御の利かない無秩序な動きが生まれている。
世界的な金融危機も、急激な円高も、中東・北アフリカで起きている「アラブの春」も、こうした大きな国際秩序の崩壊、世界の構造変化と無関係ではない。
世界秩序の崩壊 「自分さえよければ社会」への警鐘
世界の地殻変動が進行する中、米国は限られた資源を使い、国際政治のマネージメントに努めようとする。サイバー戦争、経済戦争、諜報戦争、特殊作戦…、これからの米国の戦争は地下に潜り、見えない世界で展開される。
ポスト「対テロ戦争時代」の無極化する国際政治の実態と、米国の新しい戦争をレポートする。
オバマ大統領のアフガン撤退計画
6月22日にオバマ大統領がホワイトハウスで行った演説は、米国の凋落と国際秩序の崩壊を象徴する合衆国大統領の言葉として、歴史に記録されることになるだろう。
演説はわずか15分足らずと短く、大統領の口調も抑揚のない淡々としたあっさりしたものだった。ここでオバマ大統領は、10年間続いた「一つの時代の終わり」を宣言したのである。引用が長くなるが、少し丁寧にこのオバマ演説を見ていこう。
「私がウエストポイント(09年12月の演説)でアフガニスタンへの増派を発表した時、われわれは明確な目標を設定した。それはアルカイダに再び焦点をあて、タリバンの勢いを削ぎ、アフガン治安機関が自衛できるように彼らを訓練することだった。私はまたこの取り組みは未来永劫続くものではなく、2011年7月には撤退を開始することも明言していた」
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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110829/222315/
─情報元:日経ビジネスオンラインサイト様─