2012年3月18日日曜日

【検証 年金危機】ヤバい厚生年金基金はこんなにある

<深刻な積み立て不足が78も>
AIJ事件で、厚生年金基金(企業年金)の資金不足がクローズアップされたが、AIJとは無縁だった多くの基金も資金難にあえいでいる。
基金は、国の厚生年金の一部を「代行部分」として運用している。この代行部分がマイナスに落ち込み、この数年、「代行返上」する基金が続出した。ただ代行返上するには、国から預かった「積立金」を返済する必要があるが、積み立て不足(代行割れ)で返上できない基金が山ほどある。
厚労省は、10年度と11年度に深刻な積み立て不足に陥っている基金を「指定基金」として公表している。3年度連続で最低限保有していなければならない資金の9割を下回った基金と、直近の事業年度で8割以下まで減った基金だ。両年度で合計78基金に上っている(記事末尾を参照)。

「中小企業が集まった総合型が圧倒的です。代行返上には、積み立て不足金を加盟各社が負担しなければなりませんが、業績悪化に苦しむ中小企業にそんな余裕はありません。将来の年金支払い不安を抱える“危ない基金”になってしまった」(経済ジャーナリスト)
78基金のうち、AIJと契約していたとみられる基金は愛知県トラック事業、北海道石油業など11あった。積み立て不足を解消するため、怪しいと思いながらもAIJにすがったのである。
経済評論家の山崎元氏はこう言う。

「基金には、運用のプロとは呼べない人が大勢います。もう企業年金そのものを将来的にやめてしまったほうがいいのではないでしょうか」
大企業も積み立て不足が続出している。企業年金は崩壊前夜だ。


【公表された「指定基金」】
<北海道>
北海道石油業※
北海道トラック※
北海道印刷工業
北海道乗用自動車※

<岩手県>
岩手県建設業

<秋田県>
秋田県建設業

<福島県>
常磐交通

<宮城県>
東北六県トラック
宮城県建設業

<埼玉県>
関東北信越薬業

<千葉県>
千葉県機械金属

<東京都>
全国警備業
全国塗装
全国マーガリン製造
全日本バルブ
東京貨物運送
東京港
東京写真製版
東京都家具
東京都自動車整備
東京都鉄二
東京皮革産業
日本界面活性剤工業
日本建設工事業
日本ハム・ソーセージ工業
東日本硝子業
東日本段ボール
東日本ニット
住友大阪セメント販売連合
東京紙商
東京都電気工事
東日本紙器※
東日本電線工業

<神奈川県>
神奈川県貨物自動車
神奈川県乗用自動車
神奈川鉄鋼産業
神奈川県管工事業
神奈川県建設業

<長野県>
長野県建設業
長野山梨石油※

<岐阜県>
岐阜県繊維工業

<静岡県>
静岡県中部機械工業※

<愛知県>
愛知県トラック事業※
中日本酒類業
高砂殿グループ
中部電気工事業
名古屋乗用自動車※
尾西毛織

<三重県>
三重県トラック事業

<京都府>
京都織物卸商※
京都機械金属
京都府トラック事業※
京滋石油

<大阪府>
大阪菓子
大阪港
大阪府貨物運送
大鋼連
西日本自転車
大阪紙商
大阪既製服
大阪鍍金工業
大阪料飲サービス業

<兵庫県>
尼崎機械金属
兵庫印刷工業※
兵庫県トラック運輸
兵庫ゴム工業
神戸機械金属
播州金物
兵庫県石油

<島根県>
山陰自動車業

<広島県>
中国石油業

<岡山県>
岡山県被服

<山口県>
山口県建設業
山口県トラック

<香川県>
香川県建設業

<高知県>
高知県建設業

<福岡県>
西日本酒類販売業

<熊本県>
熊本県トラック運送
※はAIJと契約していたとみられる基金

─情報元:ゲンダイネットサイト様─