文具大手のコクヨ(大阪市)が、高級ノートの本格展開に乗り出した。保存性の高い帳簿用ノートが今年100周年を迎えるのに合わせ、これをベースにした「装丁ノート」(1260円)を9月に発売。“手書き回帰”が強まる中でアベノミクスも追い風に、順調に売り上げを伸ばしている。少子化、デジタル化が進む国内で高付加価値化を進める一方で、中国ではパクリ商品を“泳がせる”奇策を打ってまで拡販を進めるコクヨ。奇抜にも映る戦略の勝算はいかに?
大正ロマンの香り漂う“高級ノオト”
コクヨが売り出した「装丁ノート」では、大正2年に製造を始めた「洋式帳簿」のため、9年の歳月をかけて開発され、その後も改良を重ねてきた高級筆記用紙「コクヨ帳簿用紙」を使用。保存性と書き味に優れており、「『書き残す』ことに最適な用紙」(同社)という。
見た目も100年の歴史を持つ洋式帳簿を彷彿(ほうふつ)とさせるレトロでおしゃれなデザイン。表紙には、布クロスのような特殊紙でノート全体を覆う「くるみ製本」を採用、高級感と耐久性を高めた。また、金箔(きんぱく)押しにした表紙タイトルは、大正時代の雰囲気を醸し出している。
担当者は「コクヨの製本の技術を最大限に発揮したノート」と自信満々。その上で、「手書きに思い入れのある人や、こだわりのアイテムを使いたい人に最適な商品だ」と強調する。実際、販売は好調で、「新たな需要を喚起している」という。
国内ノート市場は微増傾向
高級ノートは競合他社がすでに展開している。デザインフィル(東京都渋谷区)は、「書くこと」にこだわった紙を使った「MDノート」(A4変形サイズで1680円など)を発売。一方、ライフ(同千代田区)は製紙メーカーと共同開発したオリジナル用紙を初めて搭載した「ノーブルノート」(A4サイズで1575円など)を、アピカ(埼玉県越谷市)も「こだわる大人のための紳士なノート」と銘打った「Premium C.D.NOTEBOOK」(A4サイズで1575円)――と、各社それぞれに“こだわり”を打ち出している。
コクヨによると、ノートの国内市場規模は年間3億冊程度。少子化という構造的な問題があるものの、ここ数年は微増傾向が続いている。ものを書く機会は減っていると思われがちだが、実は「手書きの価値が見直されている」ことが大きな要因だという。
多様化するニーズにメーカー各社が対応し、「多品種少量生産」で高付加価値化を競っていることも大きい。コクヨはけい線や行間にドット(点)や点線を入れて文書を読みやすくしたり、図表を描きやすくしたりするなど、工夫を凝らしたノートや、書いたものをスマートフォン(高機能携帯電話)でデータ化するノートなども展開している。
「ノートにこだわりを持つ人は増えている」(コクヨ)現代。しかも高級ノートに対しては、「アベノミクスで需要がさらに高まるかもしれない」との期待も高まっているのだ。
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─情報元: 誠 Biz.IDサイト様─