変わるサラリーマン生活
田村憲久厚労相が、公的年金の受け取り年齢を75歳に繰り下げられるようにしたいと言い出した。だが、国のPRは信じない方がいい。受給を繰り下げた分(遅らせた人)は取り分が多くなるのは事実だが、一体、何歳からもらうのが最もお得なのか。
サラリーマンの年金の受給開始年齢は、1961年4月2日以降生まれ(女性は1966年同日)の人から原則65歳になる。だが、これは国が勝手に設定しているだけで、「私は60歳からもらいます」と直前に手続きすれば、それでもOKだ。ただし、「繰り上げ受給」すると、1カ月早めるごとに受取額は満額よりも0.5%減り、最大5年(60カ月)で30%減となる。一方、「私は70歳からにします」というのもアリで、その場合は1カ月ごとに0.7%増。最大5年(60カ月)で42%増になる。この増減率が同じだとすると、75歳受給開始なら84%増になる。
では、平均的なサラリーマンは基礎年金・厚生年金をいくらもらっているのか。09年度の平均額は、年間約188万円(月約15万6600円)。つまり、受給を60歳に早めれば、年間132万円になり、70歳にすれば267万円になる。夫婦の場合は、これに妻の年金が加わる。
肝心の受け取る金額だが、男性の平均寿命の79歳で計算すると――。
「60歳から20年受給=2640万円」
「65歳から15年受給=2820万円」
「70歳から10年受給=2670万円」
金額的には、65歳からもらうのが最もお得だ。
そこで雑誌やテレビは「年金は後からもらった方(繰り下げ)が得になる」とアドバイスしている。今がカツカツの生活の人は60歳から受け取るのも仕方ないが、老後の蓄えに余裕がある人は受給開始を遅らせ、後々にラクをするという発想だ。
■蓄えに余裕があるなら「60歳」が賢い選択
だが、「この発想自体が勘違いです」と指摘するのは、特定社会保険労務士・稲毛由佳氏だ。
「一般に豊かな老後を送るのに必要な金額は、年金にプラスして3000万円とされますが、それだけの蓄えのある人なら、むしろ60歳から受け取った方がいい。70歳まで無年金だと、せっかくの蓄えを減らしながらの生活。運悪く、そこで死んでしまったら目も当てられません。〈30%減らされているが、いざとなっても蓄えがあるから大丈夫〉と発想を変えるべきです」
一方、子どもの学費や住宅ローンで、不運にも蓄えが少ない人は、できるだけもらうのを我慢した方がいい。
「年金が42%増しの267万円なら、介護されることになった場合、現実問題として預貯金がなくても息子や嫁の扱いが違ってきます」
そもそも、国が「75歳受給」を言い出した時点で、ウラがあると考えるのが賢明だろう。少なくとも政府というものは、国民に豊かな暮らしをしてもらいたいと考える人たちではない。実際、70歳時点で男性の13%、75歳時点で20%が死ぬ。この分、国は得するのだ。
ただし、60歳以上で働く場合、64歳までなら給料と年金(月額)の合計が月28万円以上、65歳以上は46万円以上で年金がカットされる(在職老齢年金)ので、この点は注意が必要だ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/151325
─情報元:サイト様─
田村憲久厚労相が、公的年金の受け取り年齢を75歳に繰り下げられるようにしたいと言い出した。だが、国のPRは信じない方がいい。受給を繰り下げた分(遅らせた人)は取り分が多くなるのは事実だが、一体、何歳からもらうのが最もお得なのか。
サラリーマンの年金の受給開始年齢は、1961年4月2日以降生まれ(女性は1966年同日)の人から原則65歳になる。だが、これは国が勝手に設定しているだけで、「私は60歳からもらいます」と直前に手続きすれば、それでもOKだ。ただし、「繰り上げ受給」すると、1カ月早めるごとに受取額は満額よりも0.5%減り、最大5年(60カ月)で30%減となる。一方、「私は70歳からにします」というのもアリで、その場合は1カ月ごとに0.7%増。最大5年(60カ月)で42%増になる。この増減率が同じだとすると、75歳受給開始なら84%増になる。
では、平均的なサラリーマンは基礎年金・厚生年金をいくらもらっているのか。09年度の平均額は、年間約188万円(月約15万6600円)。つまり、受給を60歳に早めれば、年間132万円になり、70歳にすれば267万円になる。夫婦の場合は、これに妻の年金が加わる。
肝心の受け取る金額だが、男性の平均寿命の79歳で計算すると――。
「60歳から20年受給=2640万円」
「65歳から15年受給=2820万円」
「70歳から10年受給=2670万円」
金額的には、65歳からもらうのが最もお得だ。
そこで雑誌やテレビは「年金は後からもらった方(繰り下げ)が得になる」とアドバイスしている。今がカツカツの生活の人は60歳から受け取るのも仕方ないが、老後の蓄えに余裕がある人は受給開始を遅らせ、後々にラクをするという発想だ。
■蓄えに余裕があるなら「60歳」が賢い選択
だが、「この発想自体が勘違いです」と指摘するのは、特定社会保険労務士・稲毛由佳氏だ。
「一般に豊かな老後を送るのに必要な金額は、年金にプラスして3000万円とされますが、それだけの蓄えのある人なら、むしろ60歳から受け取った方がいい。70歳まで無年金だと、せっかくの蓄えを減らしながらの生活。運悪く、そこで死んでしまったら目も当てられません。〈30%減らされているが、いざとなっても蓄えがあるから大丈夫〉と発想を変えるべきです」
一方、子どもの学費や住宅ローンで、不運にも蓄えが少ない人は、できるだけもらうのを我慢した方がいい。
「年金が42%増しの267万円なら、介護されることになった場合、現実問題として預貯金がなくても息子や嫁の扱いが違ってきます」
そもそも、国が「75歳受給」を言い出した時点で、ウラがあると考えるのが賢明だろう。少なくとも政府というものは、国民に豊かな暮らしをしてもらいたいと考える人たちではない。実際、70歳時点で男性の13%、75歳時点で20%が死ぬ。この分、国は得するのだ。
ただし、60歳以上で働く場合、64歳までなら給料と年金(月額)の合計が月28万円以上、65歳以上は46万円以上で年金がカットされる(在職老齢年金)ので、この点は注意が必要だ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/151325
─情報元:サイト様─