しばらく入院生活を送っていた人が回復して普通の生活に戻った時、前より足腰が弱くなっていると感じることがあります。筋肉を使わなかったために筋力が衰えてしまったのです。
さらに寝たきりの高齢者のように体を動かさない生活が長期になると、筋力だけでなく全身の機能まで衰えてしまう「廃用症候群」を引き起こすことがあります。廃用症候群とはどんな現象なのでしょうか。また防ぐことはできるのでしょうか。
廃用症候群とは
廃用症候群とは、安静にしたまま長期間過ごすことで全身の機能が低下し支障が出てしまう状態のことです。
筋力が低下すると、体が重く感じる、歩きにくい、起き上がれない、といった症状がみられるようになります。筋力は1週間の安静で20%、3週間で60%と速いペースで低下してしまうので、気付いた時にはかなり筋力が低下していたということもあるのです。
さらに関節、内臓、神経とあらゆる機能に支障が出るようになってしまうので廃用症候群にならないよう予防が重要なのです。
廃用症候群を防ぐには
廃用症候群を防ぐにはリハビリをして体の機能が低下しないように努める必要があります。
病気やけがの療養中の人は安静にしなければいけませんが、体の機能の低下を防ぐには動かせる範囲でなるべく体を動かすようにするのが良いとされています。
歩くことのできる人はなるべく歩行の時間をとるようにして足腰の筋力低下を防ぎます。横になっている時間の長い人でも、起き上がれる人はなるべく起き上がって過ごす時間をとるようにします。
また寝たきりの状態でも手や足が動かせる人はグー・チョキ・パーを繰り返したり足首を屈伸させるなどして関節を動かすようにします。
高齢者やまひのある人で寝たきりの人は衰弱が進みやすいため、リハビリが必要です。自分で動けない場合は体の向きを変えてもらったりマッサージをしてもらうといった補助でも効果が期待できます。
老化によって体の機能が低下してくると自然と活動量も減ってきます。高齢期に入ったら、身の周りのことはなるべく自分で行ったりウォーキングを日課にするなどして意識して体を使い機能低下を防ぎましょう。
廃用症候群の症状
廃用症候群を引き起こすと全身に様々な症状が起こるようになります。
- 筋肉のやせ衰え
- 骨がもろくなる
- 関節の動きが悪くなる
- 心肺機能が低下する
- 神経の麻痺
- 自律神経失調症
- 尿路結石
- 起立性低血圧
- 逆流性食道炎
- 抑うつ
- 認知症
- せん妄
など。
体調に合わせて地道にリハビリを
廃用症候群にかかると体を動かす機会が減りますます機能が低下する悪循環に陥りがちです。症状が進むと生きる気力まで失われてしまうこともあるので早めの対策が必要です。
1週間の安静で衰えた機能を回復させるためには1か月かかるとも言われています。一度衰えた機能を回復させるには時間がかかるのです。体調に合わせて地道でもコツコツとリハビリを続けましょう。
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─情報元:健康生活サイト様─