313: 名無しさん@お腹いっぱい。 2007/03/30(金) 00:47:51
うちは嫁さんが娘を産んですぐ死んでしまった。
俺は娘を食わせてやることで手一杯。かなり仕事の虫になってた。
そのこともあって娘の面倒をほとんど見てやれなかったけど、娘は幼いながらにちゃんと事情を汲んでくれた。
もちろん再婚も考えたけど、娘は「あたしは平気だからお父さんが決めて」の一点張りで俺のことを気遣ってくれた。
それに俺自身、嫁さんの姿が目の裏に焼きついて離れないので諦めた。
正直、泣きそうなくらい娘が不憫で、だけど今さらどうしようもできなくて涙をこらえたよ。
そうして、仕事して収入を得るのは俺の役目。家事全般をこなして家を守るのが娘の役目。
自然とそんな感じの役割分担になってた。
ある日、俺が
「おや、○○さん(娘の名前)。今日の煮物はいつもと違うね」
とか冗談っぽく言うと、
「よくわかったね、□□くん(俺の名前)。ちょっと味付け変えたんだよ。いっぱい食べてね」
って返してくれた。
俺はとても嬉しくて何度もそういう口調で話しかけたんだ。
すると娘も調子を合わせてくれて、いつしか俺と娘は互いに「くん」と「さん」付けで呼ぶようになった。
もともと片親で、しかも駆け落ちみたいな学生結婚だから親族に頼ることもできなくて貧乏だったってのもあると思う。
あまりに孤立無援の特殊な環境だからこそ、娘はその他愛の無い、わざと距離を置くような冗談に付き合ってくれたんだと思う。
実はその「くん」と「さん」って呼び方、俺と嫁さんがたびたび言い合っていた冗談だったんだ。
結婚する以前、嫁さんと目が合うたびに照れ隠しでそういう言葉遣いになることがよくあって、
俺と嫁さんだけの秘密の呼び方だった。
そういった事情を知らないはずの娘が嫁さんと同じように返事してくれて俺は異常なまでに嬉しかったよ。
そのこともあって娘の面倒をほとんど見てやれなかったけど、娘は幼いながらにちゃんと事情を汲んでくれた。
もちろん再婚も考えたけど、娘は「あたしは平気だからお父さんが決めて」の一点張りで俺のことを気遣ってくれた。
それに俺自身、嫁さんの姿が目の裏に焼きついて離れないので諦めた。
正直、泣きそうなくらい娘が不憫で、だけど今さらどうしようもできなくて涙をこらえたよ。
そうして、仕事して収入を得るのは俺の役目。家事全般をこなして家を守るのが娘の役目。
自然とそんな感じの役割分担になってた。
ある日、俺が
「おや、○○さん(娘の名前)。今日の煮物はいつもと違うね」
とか冗談っぽく言うと、
「よくわかったね、□□くん(俺の名前)。ちょっと味付け変えたんだよ。いっぱい食べてね」
って返してくれた。
俺はとても嬉しくて何度もそういう口調で話しかけたんだ。
すると娘も調子を合わせてくれて、いつしか俺と娘は互いに「くん」と「さん」付けで呼ぶようになった。
もともと片親で、しかも駆け落ちみたいな学生結婚だから親族に頼ることもできなくて貧乏だったってのもあると思う。
あまりに孤立無援の特殊な環境だからこそ、娘はその他愛の無い、わざと距離を置くような冗談に付き合ってくれたんだと思う。
実はその「くん」と「さん」って呼び方、俺と嫁さんがたびたび言い合っていた冗談だったんだ。
結婚する以前、嫁さんと目が合うたびに照れ隠しでそういう言葉遣いになることがよくあって、
俺と嫁さんだけの秘密の呼び方だった。
そういった事情を知らないはずの娘が嫁さんと同じように返事してくれて俺は異常なまでに嬉しかったよ。
314: 名無しさん@お腹いっぱい。 2007/03/30(金) 01:08:25
だけどそんな喜びも時が経つにつれて苦痛に成り代わっていった。
娘は成長すればするほど嫁さんそっくりになっていった。
振り返りざまに猫みたいにニカッと笑う仕草は瓜二つだし、嘘つくとすぐ耳が赤くなるのも似ていた。
容姿も声も、面倒見のいい性格も、さらには話し方まで似てきたんだ。
呼び方が「くん」とかだけではなくて、語尾を間延びさせて甘えてくるところとか、そういう細かいところがどんどん似てくるんだ。
俺は本当に悩んだ。
日に日に嫁さんに似ていく娘がいとおしくてたまらなかった。
幼いころはまだ良かったんだ。純粋に「子供」へのかわいさだけで見られたから。
でも高校へ進学し、大学へ上がったころには一人前に色気をまとって「女」になっていた。
嫁さんの面影がある娘は「子供」としてかわいいと同時に、「女」として俺の目に映ってきた。
それからは真っ直ぐに娘の目を見ることが出来なくなった。
顔も声も話し方も、全部が全部いなくなったあの人にそっくりで、まるで嫁さんが生き返ったような錯覚を覚えたこともあった。
娘と接していると次から次へと昔のことを思い出してしまってつらかった。
それに何より、血の繋がった娘に欲情してしまう自分に幻滅した。
だけどどうしようもなかった。愛しくて、触りたくて、抱きしめたくて。
で、俺が勝手に懊悩していると目聡い娘は当然のようにそのことに気がついた。
「寝言でお母さんの名前いってたよ」
とか言われたときは心臓が止まるかと思った。
続けて
「もしかしてあたし……お母さんに似てるの?」
と訊いてきた。
俺はどう答えていいかわからず、その沈黙が答えになってしまった。
娘にしてもどうすればいいかわからないようで(当たり前だけど)二人とも無言になってしまった。
だけど黙り込んでいても仕方ないから俺は洗いざらい話すことにした。
娘が死んだ嫁さんにそっくりなこと。
とてもかわいくて命よりも大切なこと。
そしてそんな娘に劣情を抱いてしまったこと。
関係が壊れることも覚悟して包み隠さず話したよ。何もかも正直に。
娘は成長すればするほど嫁さんそっくりになっていった。
振り返りざまに猫みたいにニカッと笑う仕草は瓜二つだし、嘘つくとすぐ耳が赤くなるのも似ていた。
容姿も声も、面倒見のいい性格も、さらには話し方まで似てきたんだ。
呼び方が「くん」とかだけではなくて、語尾を間延びさせて甘えてくるところとか、そういう細かいところがどんどん似てくるんだ。
俺は本当に悩んだ。
日に日に嫁さんに似ていく娘がいとおしくてたまらなかった。
幼いころはまだ良かったんだ。純粋に「子供」へのかわいさだけで見られたから。
でも高校へ進学し、大学へ上がったころには一人前に色気をまとって「女」になっていた。
嫁さんの面影がある娘は「子供」としてかわいいと同時に、「女」として俺の目に映ってきた。
それからは真っ直ぐに娘の目を見ることが出来なくなった。
顔も声も話し方も、全部が全部いなくなったあの人にそっくりで、まるで嫁さんが生き返ったような錯覚を覚えたこともあった。
娘と接していると次から次へと昔のことを思い出してしまってつらかった。
それに何より、血の繋がった娘に欲情してしまう自分に幻滅した。
だけどどうしようもなかった。愛しくて、触りたくて、抱きしめたくて。
で、俺が勝手に懊悩していると目聡い娘は当然のようにそのことに気がついた。
「寝言でお母さんの名前いってたよ」
とか言われたときは心臓が止まるかと思った。
続けて
「もしかしてあたし……お母さんに似てるの?」
と訊いてきた。
俺はどう答えていいかわからず、その沈黙が答えになってしまった。
娘にしてもどうすればいいかわからないようで(当たり前だけど)二人とも無言になってしまった。
だけど黙り込んでいても仕方ないから俺は洗いざらい話すことにした。
娘が死んだ嫁さんにそっくりなこと。
とてもかわいくて命よりも大切なこと。
そしてそんな娘に劣情を抱いてしまったこと。
関係が壊れることも覚悟して包み隠さず話したよ。何もかも正直に。
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─情報元:生活ウォーズサイト様─