2015年10月1日木曜日

現場に口出ししたがる社長の“悪い癖”はなぜ治らないのか

なぜトップは忙しいのに
現場に介入したがるのか

あなたの会社のトップは、現場に介入したがっていませんか?
 先日、某球団の打撃コーチが退団した。その原因は、球団オーナーの過剰な現場介入だったと言われている。この手のニュースは、だいたい大げさに報道されるから本当のところはわからないが、成果が出ない現場に対してトップが口出ししたくなる気持ちもわかるし、打順にまで口出しされてはたまらないという打撃コーチの気持ちもわかる。ずっとトップの補佐役をやってきた私にもなじみの風景だ。直接トップに文句を言えない現場のプロジェクトリーダーから、「あなたのところでどうにか止めてください」としょっちゅう懇願されたのが、トップの現場介入であったからだ。
 たとえば別の会社とパートナーシップを組んで、じっくり計画してきたビジネスに、突然、「先進的なこの会社を使え」と別のライバル会社を指定されたり、全然関係のない文脈で、「“女性活用”や“LGBT”などの時代のキーワードを反映させろ」と強制してきたり。社長がプロジェクトリーダーに直接、意見して現場を引っかき回す話はよく聞く。そして、現場の状況を知らないトップの意見をそのまま反映すると、大抵いい結果は得られない。
 それなのに、なぜトップは現場のやることに口出しするのだろうか。それには主に3つの理由がある。
 1つめは、それがトップにとって重要なプロジェクトであり、トップ自身もそのプロジェクトに興味があるからだ。もう少し正確に言うと、ある時点までは、それほど重要でないプロジェクトが、何かをキッカケに突然重要なモノに変わってしまったときに現場介入は起こりやすい。取引先の社長や家族から関連する“面白い情報”を聞かされたり、気になっている“ライバル企業”が成功しつつあるというニュースを聞いたり、社外のイベント等でそのプロジェクトの進展状況を“発表”しなければならない状況になったりしたときなどに、それまでどうということもなかったプロジェクトがいきなり関心事に変わってしまう。
 興味を持ってしまうと、何か言わずにいられないのがトップである。トップの強い関心は、うまくいけばより多くのリソースの配分を受けプロジェクト飛躍の契機ともなるが、その多くは余計な干渉が増えるだけという残念な結果になりがちだ。
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─情報元:ダイヤモンド・オンラインサイト様─