2016年10月7日金曜日

社員のチャレンジの芽を摘む「リスク過敏症」企業の愚かさ

新たな取り組みが検討され始めるや否や、「できない理由」を並べ立てて阻止する「リスク過敏症」企業。これではヤル気のある社員ほど、在籍し続けるのがバカらしくなる


一般社員が新聞記事に載ることに
なぜかくも反対意見が噴出するのか?

新たな取り組みが検討され始めるや否や、「できない理由」を並べ立てて阻止する「リスク過敏症」企業。これではヤル気のある社員ほど、在籍し続けるのがバカらしくなる
 かつて人事部長として勤務した会社で、特に優秀な社員のビジネス活動を支援して、退社抑制を図るために、社員のエッジの効いた取り組みをメディアへパブリシティとして紹介しようとしたことがある。
 いわゆる広告出稿ではない。企業はメディアへ代金を払わずにトピックスを紹介し、メディアに取材や寄稿の形で掲載してもらう活動だ。
 取り上げるかどうかはメディアの判断なので、100%実現できるわけではない。また、取材であればなおさらそうだが、寄稿であっても編集権はメディアにある場合が多いので、企業が望んだどおりの記事になるとは限らないリスクはある。しかし、効果も大きいはずだ。この取り組みを提案したところ、以下のような反対意見が殺到した。
1.越権行為
そもそもパブリシティは広報部門の役割で、人事部門が行うことは越権行為だ。
2.広告かパブリシティか
どの部門が担当するにしても、パブリシティはリスクが大きすぎる。今まで通り広告を出していけばよいではないか。
3.社会的認知
どのようなトピックスを紹介するにせよ、それが社会的に認知され評価されていることは証明されていないので、メディアへ情報提供するべきではない。
4.一般社員「黒子論」
仮に、情報提供できるトピックスがあったとしても、取材対応や寄稿は、社長や役員に限るべきだ。従来から、一般社員が原稿を作成し、それに基づき、社長や役員の名前で取材対応や寄稿をしており、その方法を続けるべきだ。一般社員名で取材対応や寄稿をするなど、100年早い。
5.一般社員の社外流出リスク
もし、一般社員名がメディアへ露出されれば、その社員が優秀であればあるほど、ハンティングのリスクが高まり、社外流出しかねない。人事部長として、その責任が取れるのか。
6.パブリシティのリスク
一般社員が取材や寄稿をして、取引先から批判を受けたら、誰が責任を取るのか。リスクが大き過ぎる。どうしても出すならば、会社名は絶対出すべきではない。会社の預かり知らぬところで、例えば休日に執筆して、個人名で出す分には、会社はとやかく言わない。従って、原稿料が入るならば個人が受け取れば良い。また、取材や寄稿が増えても、広報部門のリソースは割けないので、会社名で出すべきではない。
7.売名行為
メディアにパブリシティすることは売名行為だ。そのような卑しいことに、当社は積極的に取り組むべきではない。
 留まるところを知らぬ反対意見に、私は困惑を通り越して、笑ってしまった。よくもまあ、これだけネガティブな意見が出るものだと感心もした。そして、これらの反論について、一つひとつ説明を試みた。
1
2
3
nextpage

...詳しい情報・続きはこちら >>
http://diamond.jp/articles/-/103517
─情報元:ダイヤモンド・オンラインサイト様─