2021年3月29日月曜日

ニューノーマルの世界は10倍速で訪れた近未来の姿にすぎない

アフターコロナは見たことのない世界ではなく、「デジタル化」「多様性」「環境意識」といった後回しにしてきた問題が目の前に突き付けられただけ――。JR東日本でエキナカや青森A-FACTORYの立ち上げなどの地域活性化、カルビーで新規事業の仕掛け人として活躍した鎌田由美子氏がコロナ後の企業や個人の在り方、そしてシン・チホウ(新・地方)の可能性を探る。

  2020年は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって世界中が、100年に一度あるかないかという大変革の年になりました。これまでの常識やルールが崩れ、働き方も学び方も暮らし方も激変する中で、戸惑い、目標や自信を見失い、中には絶望感を抱いている人もいるのではないでしょうか。

 しかしアフターコロナは、全く見たことのない新しい世界ではなく、これまで少し遠くに見えていた未来が10倍速で訪れたにすぎないと感じています。それを象徴する3大要素が、(1)デジタル化(2)多様性(3)環境意識。そう、3つともずっと重要だと言われてきながら、対応を後回しにしていた要素。「いずれ、そのうち」と多くの人が遠目で見ていた問題が、COVID-19により、いきなり目の前に突き付けられたのです。

 1つ目の「デジタル化」は、COVID-19で最も目に見えて急速に変化が進んだ領域ではないでしょうか。世界中でロックダウン(都市封鎖)や自粛生活を強いられる中、買い物はECメインに。米マッキンゼー・アンド・カンパニーのリポートによれば、EC化率が高い米国でも09年の約6%から19年の約16%へと10ポイントアップするまでに10年かかっているのに対し、COVID-19以降、わずか3カ月で約34%まで伸ばしています。ECにあまり積極的でなかった伝統的な大企業までもがCOVID-19の嵐の中、ECを立ち上げる姿が目立ちました。




https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00373/00001/