2013年5月1日水曜日

恐怖の罵倒商法「お前はバカか」、急増“送りつけ商法”の凶悪・卑劣手口


注文した覚えがない健康食品が突然自宅に送られ、購入させられる-。
こうした悪質な「送りつけ商法」の被害が、全国で多発している。昨年度に国民生活センターがまとめた被害の相談件数は、高齢者を中心に約1万3千件と、前年度比で5倍に急増。業者からの電話で脅されて購入を約束した結果、連絡が取れずに返品できなかったり、使用して健康被害が出たりしたケースもあるという。手口に利用される宅配業界も悪質業者との契約解除など、被害防止に乗り出しているが、センターは「注文した覚えがない商品の受け取りはきっぱりと断って」と呼び掛けている。(山本考志)
 送りつけ商法は「ネガティブ・オプション」とも呼ばれ、悪質な業者が個人や事業者などを問わず、勝手に商品を送り付けて購入させる手口だ。
 これまでには生鮮食品のカニや皇室の写真集などを扱う業者があったが、近年は特に、健康に関心の高い高齢者を狙って健康食品を送りつけるケースが増えている。

■電話で恫喝
 山陽地方の60代女性の場合は今年2月、男から自宅に「注文した商品を代金引換で送る」と電話があった。
 女性は「注文した覚えがない」と断ると、男に「注文の記録が残っている。お前はばかか」と罵(ののし)られた。
 女性は断り切れず、早く話を終わらせるために「送ってください」と伝えると、電話が切れた。後日、小瓶に入った3万円の商品が自宅に送られ、購入を余儀なくされた。
 女性は怖くなって返金は諦めていた。その1週間後、同じ業者の男から「次の商品を送る」と電話があった。
 「あなたのために特注で商品をつくった」としつこく迫られたが、女性は「お金がない」と何とか断り、近くの消費生活センターに相談したという。


■被害の相談急増
 全国の消費生活センターや国と連携する国民生活センターによると、健康食品の送りつけに関する相談件数は平成19年度の1767件から、23年度の2728件まで年々増加。24年度は1万2977件と一気に増えた。
 センターの昨年10月時点の集計では、24年度は相談者の41・6%が前述の女性のように、業者からの電話で「強引に購入を迫られた」と感じていた。断ると、「会社を潰す気か」「弁護士を連れて行く」などと脅されるケースも多い。
 購入させられた相談者は、60代以上が80・5%を占める。購入金額は、千円以上1万円未満が40・4%と、突然送りつけられても購入しやすい価格帯が多いという。
 認知症の高齢者に何度も購入させるなど悪質な業者もあり、一部には100万円を超える被害が出ている。
 返品を求めて業者の連絡先に電話をかけてもつながらなかったり、送られた健康食品を使用し、嘔吐(おうと)や湿疹などの症状が出たりした健康被害の相談も寄せられている。

■消費者側の防止策
 国民生活センターは、消費者側の被害防止策として、注文した覚えのない商品は受け取りを拒否するよう啓発している。
 家族が注文したと思い込んで受け取ってしまった場合などでも、特定商取引法では、注文していない荷物は送られてから14日間、開封せずに保管しておけば、その後は自由に処分できるという。
 また、代金引換などで現金を支払わないよう、通信販売の注文は家族と情報を共有するなどのルールづくりを勧めている。

■運送業者も苦慮
 送りつけ商法の手口に利用される運送業者も、対応に苦慮している。
 兵庫県内の運送業者でつくる県トラック協会(神戸市)は3月8日、県内の消費生活センターなどと情報交換会を開催。被害実態についての報告などが行われた。
 ただ、実際に被害を防ぐのは難しいのが実情だ。
 情報交換会に参加した宅配大手「ヤマト運輸」(東京)によると、代金引換は配達依頼主の集金を代行しており、受け取った料金を独自の判断で返金することはできないという。
 同社では、配達の依頼主と契約を結ぶ際、過去に配達を巡るトラブルなどがないか審査している。
 しかし、広報担当者は「国から悪質業者の情報提供があれば、契約を解除することはできるが、民間企業だけで全てのトラブルを把握するのは難しい」と明かす。

■「完全な詐欺行為」
 送りつけ商法について、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」(京都市)の理事を務める長野浩三弁護士は「完全な詐欺行為」と指摘。「悪質な業者は法律に違反しないよう注意し、看板を替えて同様の手口を繰り返す」と警鐘を鳴らす。
 一方で、山形県警が、静岡県内で発生した健康食品の送りつけ商法の被害をめぐり、今年3月に東京都内の業者計4人を特定商取引法違反容疑(不実の告知)で検挙した例もある。
 長野弁護士は「業者側は刑事事件として立件されることを恐れる」とし、「勧誘の電話を録音し、荷物を保管するなど、証拠を残しておくことも対策のひとつだ」と提案している。

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http://news.livedoor.com/article/detail/7635037/
─情報元:産経新聞サイト様─