その時、高齢の母、病床の妹の姿は脳裏をよぎらなかったのだろうか。
ヨガマット1枚を盗んだとして、窃盗罪に問われた女性被告(42)の東京地裁公判。以前に同罪で有罪判決を受け、執行猶予中に再び過ちを犯した被告が、抑えられない「盗癖」を涙ながらに告白した。(時吉達也)
起訴状と検察側の冒頭陳述によると、被告は3月2日、東急ハンズ新宿店でヨガマット(販売価格1980円)を盗んだとされる。被告は販売フロアと別の階でも精算できる仕組みを利用。マットを手に堂々とレジを素通りすると、エスカレーターの陰であらかじめもらっておいた紙袋に入れるという大胆な犯行だった。
4月24日の初公判で、起訴内容を認めた被告。傍聴人に背を向けるようにして被告人席に座り、腰まで伸びた金髪が顔を覆っているため表情は読み取れない。うなだれたまま微動だにしない被告の方を向き、検察官は淡々と被告の経歴について説明を続けていく。
被告は兵庫県出身で、高校卒業後に上京。ホステスなどをして生計を立てていた。しかし、3件の万引で窃盗罪に問われ、昨年9月、懲役1年2月、執行猶予5年の判決を受ける。母と妹が暮らす兵庫の実家に戻り、求職活動をしながら家事手伝いをしていた。
しかし、前回判決から約半年が経過し、被告は犯行の1週間前、再び上京する。なぜ、被告の指導・監督を約束した家族の元を離れたのか。弁護側の情状証人として出廷した母親が、弁護人の問いに答えた。
母親「生活が苦しく、地元で仕事が見つからなかったため、仕送りをしてもらう予定だったんです」
被告が幼いころに離婚し、女手一つで被告と妹を育ててきた69歳の母親は、心臓疾患の悪化からパート勤務を退職。追い打ちをかけるように、不整脈がありもともと体の弱かった妹が、病気で入院したという。
生活費を母の年金に頼る窮状を受け、再び実家を出た被告。しかし、間もなく家族に届いたのは仕送りではなく、悪い知らせだった。
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─情報元:(産経新聞サイト様─