2013年9月3日火曜日

シリア情勢緊迫で進む「有事の円買い」という悪夢

米国は攻撃に踏み切るのか、できないのか。シリア情勢は混沌としてきたが、同時に世界経済もグラグラだ。

 オバマ大統領はシリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、先月31日に、「軍事行動を取るべきだと決断した」と声明を発表。同時に議会に承認を求めるという異例の選択をした。議会の採決は9日以降になる見通しだ。

「攻撃の最終判断が先延ばしされたことで、マーケットに不透明感が蔓延しています。こうなると、情勢を見極めるまで、世界的な株安、原油高は解消されない。世界経済にとってはマイナス材料ばかりです」(市場関係者)

 NY原油価格は2年ぶりの高値となる1バレル=110ドルを突破し、高止まりの状態。攻撃開始の先送りで、「1バレル=130ドルまで高まる」と警告する関係者もいる。

 株式市場も乱高下続きだ。
「攻撃が短期間で終われば、マーケットへの影響は限定的」(第一生命経済研究所首席エコノミストの嶌峰義清氏)と思われていたが、英国が離脱し、オバマは優柔不断。不透明感は強まるばかりで、経済への悪影響を心配する声が増えている。

「9月上旬は重要イベントが目白押しです。6日に米雇用統計が発表され、7日(日本時間8日未明)には20年五輪の開催地が決まります。でも、こうしたイベントが、すべてシリア問題にかき消されてしまう恐れがある」(証券アナリスト)

<「年内1万6000円」という期待も水の泡>

 日本の円高も心配だ。シリア空爆が現実味を帯びた8月下旬、円は1ドル=99円台から97円台へと一気に急騰した。

「“有事の円買い”です。以前は有事のドルでしたが、いまは円やスイスフランが買われます。現在は多少、円安に振れていますが、シリア攻撃が現実になれば再び円高に向かうでしょう」(三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏)

 市場からのクレームは続く。
「東京五輪が決まれば、日経平均の年内1万6000円超えが見えていました。でも、シリア情勢で不透明となり、五輪期待感は吹っ飛んだ。台無しです」(市場関係者)

 個人投資家も含めて、今はおとなしくするしかなさそうだ。

http://gendai.net/articles/view/syakai/144329
─情報元:ゲンダイネットサイト様─