「指示待ちではなく、自ら積極的に仕事をしてほしい」――。リーダーなら誰でも、部下にそうあってほしいと思うもの。実際、部下の自主性を高めるためのさまざまな手段やノウハウが、研修や書籍、セミナーなどで紹介されています。その1つに「部下に仕事を選ばせ、宣言させることで自主性を促す」という方法があるのはご存じですか。
仕事をする際には、前もって目標を立てることがほとんどですが、自分1人では甘えや怠けが出ることがあります。皆さんもそういった経験はありませんか? そんなときには、目標を人前で宣言するのが有効です。責任が生じ、宣言した本人が“目標に向かう行動力や努力が増す”傾向があります。
宣言を聞く相手が多ければ多いほど、この効力は高まります。例えばアイドルが大勢のファンの前で「来年は1位になります!」と言えば、ファンの期待という責任が生じ、頑張らざるを得なくなる――そんなイメージです。このような効果を心理学用語で「コミットメント効果」と言います。
というわけで、部下のやる気や自主性を高めようとするならば、その部下にやりたい仕事を選ばせ、人前で“これをやります”と宣言させるのが有効です。こういった話をすると「これならできそうだ」と思う人も多いと思いますが、注意すべき点があります。とある研修の受講者から「会議で部下にコミットメント効果を使おうとしたが、逆にモチベーションを下げてしまった」という話を聞きました。
上司A: みんなの担当顧客を新しく割り振ろうと思うんだけど、Bさんにはやりたい顧客を担当してほしいんだ。どこを担当したい?部下B: そうですね。○○社を担当してみたいです。A: あー。○○社は、Cさんに任せようと思ってるんだ。B: そうですか。では、△△社を担当してみたいです。A: △△社は最大手だから、私が担当しようと思ってる。B: では、◎◎社はどうですか?A: ◎◎社かぁ、◎◎社はなぁ……。実はBさんには、××社を担当して欲しいと思ってるんだけどねB: (はぁ? という顔)
Aさんが失敗してしまった理由
Aさんは担当顧客を割り振る会議で、部下であるBさんのやる気を高めようと、顧客を選ばせ、宣言させようとしていますが、結果的に自主性を高めるどころか、Bさんのモチベーションを下げ、怒らせてしまいました。
このケースにおける問題は「リーダーが事前に計画を立てている」こと。リーダーがコミットメントを仕掛ける際の“落とし穴”はここにあります。「仕事なんだから計画を立てるのは当たり前」と思うかもしれませんが、自分が予定した顧客以外を認めないのなら、この手段は使うべきではありません。
というのも、コミットメント効果を高める重要な要素として「自分の“意志”で選ぶ」というものがあるためです。
今回のケースで、AさんはBさんに「選んでよい」と言いながら、選択の余地を与えていません。Bさんは、「○○社は(Bさんではなく)Cさん、△△社は(Bさんではなく)Aさん」と顧客を選ぶたびに否定されています。こんな言い方をされれば、モチベーションは下がる一方。最後にダメ押しで「××社を担当してほしい」とくれば、「最初から決まってるんなら、さっさとそう言えよ」と頭にくるのも当然でしょう。
では、どうすればBさんのやる気を高める方向に持っていけるのでしょうか。
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─情報元:誠 Biz.IDサイト様─