お酒でリスクが高まる乳がんや前立腺がんなど、食物繊維でなかったことに

　お酒を飲む量が多いと性ホルモンと関係するがんが増えることがある。

　この悪影響は、食物繊維を多く取る人では出てこなくなる可能性があるようだ。

飲酒により性ホルモンは増えるが

　フランスのソルボンヌ・パリ・シテ大学疫学・生物統計学研究センターを含む研究グループが、米国栄養学会が発行する臨床栄養学分野の専門誌アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリションのオンライン版で2015年５月20日に報告した。

　アルコールを飲むと血液中の性ホルモン濃度を増やす効果がある。そのため性ホルモンの影響を受けるがんのリスクが高くなる可能性がある。

　食物繊維は性ホルモン濃度を下げる働きがある。性ホルモンに結び付いて無効にするタンパク質も増やすと見られている。

　研究グループは、フランスで行われた研究に参加した人のうち、最初の２年間に少なくとも６回の食事記録を行った約3800人の女性と約2700人の男性を対象として、飲酒の状況と性ホルモンに関係したがんとの関連性を調査。食物繊維を食べると、飲酒のがんへの悪影響が抑えられるかを検証した。

　性ホルモンと関係したがんとは、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮内膜がん、精巣がん。

がんのリスク上昇を避けられる？

　平均追跡期間12年の間に乳がんになった人は158人、前立腺がんになった人は123人となったほか、何らかの性ホルモンと関係するがんになった人は約300人となっていた。

　アルコール摂取量によって高～低の３グループに分けたところ、飲酒量が最も多いグループは最も少ないグループより性ホルモンに関係したがんのリスクが約1.4倍となった。

　このうち乳がんのリスクが1.7倍だったが、前立腺がんとは関連しなかった。

　男女別に食物繊維を取る量で分けて分析すると、食物繊維を取る量が少ない人では、飲酒量が最も多いグループは最も少ないグループより性ホルモンに関連したがんのリスクが約1.8倍だった。乳がんのリスクが2.5倍、前立腺がんのリスクが1.37倍だった。

　一方で、食物繊維を取る量が多い人ではこのような飲酒量と性ホルモンに関係したがんとの関連性がないと分かった。

　食物繊維を取ると、飲酒で起こる性ホルモンに影響を受けるがんのリスク上昇を避けられる可能性があるわけだ。

　お酒を飲んだときには、野菜や果物を意識的に取ると良さそうだ。

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─情報元：Medエッジサイト様─