すっかり死語になった「モラール」
あなたの会社は、モチベーションの上がる会社?
最近ではすっかり当たり前になった「モチベーション」という言葉だが、1980年代まではそれほど一般的ではない言葉だった。それまでは似た意味の言葉として「モラール」が主に使われていたからである。
90年代前半に、マズローやハーズバーグの視点を生活シーンに落した直したリクルート社の『モチベーションリソース革命』という冊子が日本中の会社に配布され、またそのころから、トップアスリートたちが盛んに使いはじめたことで一気に「モチベーション」という言葉は全国に広まった。そして、いつの間にか日本語になったのである。
「モチベーション」は個人のやる気に焦点を当てるが、「モラール」とは全体の士気を指す。かつては、「目標達成をするために、社員のモラールアップを図ります」というような使い方がされていたのであった。過去形で書いたのは、いま若い世代に聞いてみると、「モラール」という言葉の意味どころか「聞いたこともない」という人がほとんどだ。「モチベーション」に取って代わられてしまった今、「モラール」はすでに死語である。
80年代頃までの組織では、「全体をどう盛り上げるか」ということこそがメインの関心事であった。社会も業界構造も安定していたし、集団の士気を上げれば成果が上がるという簡単な方程式が成り立っていたのである。
一方、業界を超えた合従連衡などがあり、市場のニーズや技術も激変している現在は、全体の士気さえあがれば成果が出るなどという簡単な状況にはない。そこで、個人の「モチベーション」にアプローチし、そこから生まれる革新的なアイデアや知見を重視する方向へ変わってきたのだとも言える。このように言うと、企業が「個」を尊重する良い方向へと「進化」しているかのようだが、残念ながらこれは建前である。
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─情報元:ダイヤモンド・オンラインサイト様─