2016年2月25日木曜日

危険な成分の経皮毒が!?市販シャンプー選びで注意すべき点

women choosing a shampoo
近年は自然派志向の化粧品や洗剤が増えてきており、ヒトや環境にやさしい製品が多いのは良いことだなと感じています。
シャンプーなどの化粧品に含まれる化学物質は体に良くない影響を及ぼすと言われます。皮膚からその毒が吸収されることを「経皮毒」というのだそうですが、皆さんはご存知でしたか?
今回は謎の多い経皮毒というキーワードを紐解きながら、シャンプーの正しい選び方について考えてみたいと思います。


経皮毒という言葉を聞いたことがありますか?その意味とは

「経皮毒(けいひどく)」というのは、数年前に日本の薬学博士などが使用し始めた造語で、「シャンプーなどに配合されている有害な化学物質が皮膚から吸収されること」を意味します。
博士らは「合成のシャンプー、洗濯洗剤などの日用品を毎日使い続けていると皮膚から有害な化学物質が吸収されて内臓に蓄積し、体に深刻な健康被害を及ぼし危険である」と警鐘を鳴らしています。
経皮毒の危険性については次のように語られています。
  • 一度皮膚から吸収された化学物質は体外に排出されにくい
  • 女性の場合、特に子宮に化学物質が蓄積しやすい
  • 皮膚トラブルのほか、がん・脳・子宮の病気のリスクを高めてしまう
  • 体の部位によって経皮毒の吸収量が異なり、性器は腕の42倍も吸収率が高い
有害な化学物質というのは合成界面活性剤やポリマーなど石油製品のことで、私達が毎日のように使う日用品にも幅広く含まれているから心配だということなのです。
合成界面活性剤
  • シャンプー
  • ボディシャンプー
  • 歯磨き粉
  • 化粧品
  • 洗剤
ポリマー
  • 生理用ナプキン
  • 紙おむつ
このような話を初めて聞くと、「今まで知らずにシャンプーを使ってきたけど、そんな危険な物だったのか!」とショックを受けてしまいますよね。
2005年に経皮毒の危険性に関する書籍が出版されると、「合成シャンプーや生理ナプキンを使うのは体に良くない」ということで、個人のブログやオンラインショップなどを通して経皮毒に関する情報が拡散されるようになりました。

実は賛否両論の経皮毒…いまだ科学的な実証なし?

経皮毒という言葉が知られるようになってから、自然派の化粧品やポリマーを使わない布ナプキンを販売するメーカーも増えてきました。
しかし経皮毒という言葉が世の中に出て10年以上経った今も、経皮毒の危険性については本格的に科学的な検証が行なわれていません。「経皮毒という発想には矛盾がある」ということで次のような指摘も出てきています。

皮膚から吸収されたものは内臓に蓄積されない

経皮毒の考え方では「皮膚から吸収された有害な化学物質が内臓に蓄積される」とあります。
しかし「化粧品や洗剤に含まれる成分が、皮膚から吸収されて内臓まで到達するようなことはあり得ない」という考えが一般的のようです。
皮膚はバリア機能があるので、どんな成分でも皮膚を通過するわけではありません。シャンプーなどに含まれる化学物質は分子が大きいので皮膚から吸収される可能性は少ないと指摘されています。
一方、軟膏などの医薬品は炎症を治すため成分が皮膚に吸収されるように作られています。ただし皮膚から成分が吸収されたとしても成分は皮膚の周辺にとどまる程度なので、内臓に影響することはないのです。
また薬事法によって、医薬品・医薬部外品以外の製品は体内から必ず排出される成分しか配合できないので、シャンプーに使われている成分が内臓に蓄積するという発想には無理があるとも指摘されています。

「性器は腕の42倍も吸収率が高い」は不適切な引用?

ネットでは「デリケートゾーンは経皮吸収量が腕の42倍も高いので、女性は経皮毒に気をつけましょう」といった情報が拡散されているのをしばしば目にします。
この情報は経皮毒の危険性を説明した書籍の中の一節で「皮膚は部位によって付着した成分の吸収量が異なり、経皮吸収量は腕の内側を1とすると頭皮で3.5倍、性器は42倍もあり、経皮毒の影響を受けやすい部位である」という話のくだりなのです。
しかし「日用品レベルの成分で本当に経皮吸収量が42倍もあるのか疑問」という指摘も出ています。
実は「性器の経皮吸収量が腕の42倍」というのは、経皮吸収量が非常に強いステロイドの一種を皮膚に塗った時のデータを引用したものだと言われています。
実際、日用品にステロイドのような経皮吸収量の強い成分が配合されることはありません。シャンプーの話にステロイドのような劇薬のデータを引用するのは不自然だと指摘されているのです。

自然派グッズの売り上げを伸ばすためのツール?

「経皮毒は危険なので、有害な化学物質が使われていない自然派の製品を使いましょう。」と経皮毒の危険性を訴えているショップや美容師さんのサイトもみられます。
確かに自然派の化粧品や洗剤が環境や体にやさしいのは分かりますが、2008年には他社の製品を取り上げて過剰に経皮毒の危険性をうたい自社製品を勧誘販売しようとしたメーカーが、特定商取引法の違反で業務停止になったこともありました。
この頃から「経皮毒はデマで、自社製品の売り上げを伸ばすためのツールなんじゃないか」と疑い始める人も出てきたようです。
かといって経皮毒がデマだという科学的な検証も行われていないので、実際のところは肯定も否定もできない状態です。
しかし、「合成シャンプーを使っている女性の羊水は香料の香りがするそうです。」「化学的なカラーリング剤を使っている人は頭蓋骨まで色が染まっているそうです。」といった都市伝説のようなフレーズが拡散され続けているのは困ったことです。
消費者も体の仕組みを勉強して正しい情報を選択し、意味のない買い物をしないよう気をつけなければならないなと改めて思います。

シャンプーは経皮毒より皮膚炎に注意

科学的な裏付けがないので確かなことは言えませんが、専門家や医師らの意見から判断すると、私達がシャンプーなどの化粧品を選ぶ時には経皮毒についてそこまで神経質にかまえる必要はなさそうです。
強いて言えば、シャンプーによる健康被害なら経皮毒というよりも「接触性皮膚炎」「アレルギー性皮膚炎」が起こる可能性を心配するのが妥当かと思います。
どちらもシャンプーに配合されている成分が原因で起こる皮膚炎ですが、それぞれ性質が異なります。
接触性皮膚炎
皮膚になんらかの物質が接触した刺激で炎症が起こる皮膚炎
アレルギー性皮膚炎
特定の物質にアレルギー反応を起こす皮膚炎
もしも頭皮に次のような症状があらわれたら、これらの皮膚炎が起こっている可能性があるので、そのシャンプーの使用を中止しましょう。
  • かゆみ
  • 赤み
  • 湿疹
  • 水疱
  • フケ
  • ピリピリした痛み
頭皮と同時に顔、首などシャンプーの泡と接触した部分に炎症が起こることもあります。
シャンプーで皮膚炎を起こした時、接触性かアレルギー性かどうかはアレルギー検査をしてみないとはっきり分からないので、シャンプー容器またはシャンプーの容器に表示されている成分名を記入したメモも持参して皮膚科を受診することをおすすめします。
検査をしてシャンプーに配合される成分にアレルギーの原因が見つかれば、アレルギー性皮膚炎です。今後は容器の成分表示をチェックし、原因となる成分が配合されている化粧品の使用を避ければ、皮膚炎を起こすことはなくなります。
アレルギーが見つからなかった場合は、アレルギーの有無に関係なく起こる接触性皮膚炎と考えられます。
一時的に皮膚のバリア機能が低下した時に、今までなんともなかった成分が刺激となって炎症を起こしてしまう病気、俗に言う「かぶれ」です。皮膚のバリア機能が回復するまでは、もっと刺激の弱いシャンプーを使う必要があります。

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─情報元:健康生活サイト様─