■デフレ脱却には継続必要
平成25年春闘で自動車や電機など主要企業が13日、労働組合に一斉に回答した。
労組が求めた定期昇給(定昇)を維持し、年間一時金(ボーナス)についてはトヨタ自動車が満額回答するなど、前年実績を上回る企業が相次いだ。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に伴う円安が輸出企業を中心に業績改善につながり、デフレ脱却に向け一歩を踏み出した。円安の影響で業績好調の自動車業界はトヨタのほか日産自動車など大手7社が満額回答だった。会見したトヨタの宮崎直樹常務役員は「今期に5年ぶりの単独営業黒字になる見通しになり、組合員の努力に報いたい」と述べた。
電機では、日立製作所の労組が3年以来の高水準となる5・8カ月の一時金を求めたが、中国の景気鈍化の影響などで今期の業績予想を下方修正したため、前年実績を0・07カ月上回る小幅増にとどまった。
一方、自動車、電機ともに主要企業は定昇を維持した。2年連続で巨額の最終赤字を見込むパナソニックも定昇を確保。シャープは電機連合の統一闘争から離脱したが、定昇の維持で妥結した。
◆基本給上げ慎重
平成25年春闘は、安倍晋三政権の異例の賃上げ要請や、日銀の追加金融緩和への期待感に伴う円安基調を追い風に、一時金(ボーナス)で満額回答が相次いだ。ただ、企業の利益還元は一時金が中心で、経営側は恒常的なコスト上昇につながる基本給の改善に慎重姿勢を崩さなかった。安倍政権が掲げるデフレ脱却のためには、消費を喚起する持続的な賃金の引き上げが必要だ。
「政権の要請は重要な判断要素の一つだった」(トヨタ自動車の宮崎直樹常務役員)、「世の中の風を踏まえて判断した」(日立製作所の御手洗尚樹執行役常務)-。13日、一時金の増額を回答した企業からは、安倍政権の賃上げ要請を意識したコメントが相次いだ。
「業績改善している企業は、報酬の引き上げを検討してほしい」という安倍首相の発言。連合を支持基盤とした民主党政権でも踏み込まなかった要請に対し、2月中旬、首相と会談した経団連の米倉弘昌会長は「業績が良くなれば一時金に反映される」と応じ、一定の距離を置いていた。
そんな中、即座に反応したのは、日本の成長戦略を議論する政府の産業競争力会議のメンバー、ローソンの新浪剛史社長だった。2月7日、一時金の増額による正社員の年収引き上げを発表。その後も、セブン&アイ・ホールディングスやニトリなど、流通業界が相次いでベースアップ(ベア)の実施を発表した。
流通業界が賃上げにいち早く取り組んだのは、「自分たちで明るく、意欲的にしなければいけない」(イトーヨーカ堂の亀井淳社長)という個人消費に対する危機感からだ。デフレが長引き、低価格競争が各社の経営体力を疲弊させている。賃上げしなければ国内消費が縮小し、結局は自分たちの業績に跳ね返る、と考えたのだ。
流通から始まった賃上げの動きは製造業の一部にも波及し、今春闘で労働組合側の追い風となった。
政府はアベノミクスに伴う円安が輸出企業の業績改善につながり、賃金や雇用拡大に波及して物価が上昇するシナリオを描く。菅義偉官房長官は13日の会見で、自動車大手で一時金の満額回答が相次いだことに対し、「報酬と雇用の増大がアベノミクスの目標の一つだ」と述べ、成果を強調した。
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─情報元:産経新聞サイト様─