2013年7月4日木曜日

働きやすい職場を作るコミュニケーションはシンプル

日本経団連が2012年7月に発表した「新卒採用(2012年4月入社対象)に関するアンケート調査」)に関するアンケート調査」によれば、採用選考時に重視する要素の第1位は9年連続で「コミュニケーション能力」なのだそうです。それだけ、コミュニケーション力が重要視されているのでしょう。

 一方、コミュニケーション力は「個人の資質」と捉えられていることも多く、身に付けるのが難しいものの代表例として挙げられることも多いのが実際です。

 職場のコミュニケーションを円滑にするために、これまでコーチングなどの手法が紹介されてきました。この記事を読んでいるあなたも、職場でコーチングの研修を受けたことがあるかもしれません。

 しかし、コーチングは難しいですよね。コーチングで有名なスキルは「タイプ分け」です。「タイプに分けて、それぞれに適したコミュニケーションを図る」などの考え方は理論としては面白いです。しかし実際に職場で生かそうと思うと、なかなか実践できません。


 実際、私はコーチングの際に相手がどんなタイプなのかを意識していません。相手の話に意識を向けながら、頭のもう片方で「この人は何タイプかな?」と分析するのは難しいからです。

 私は、職場で実践できるようにするなら、もっとシンプルである必要があるのではないかと考えています。私がコーチングなどのコミュニケーションの際に意識を置いているのは「相手が本当に望んでいることは何か」の1点です。

 例えばスタッフ間のコミュニケーションが上手くいっていない職場で「よし、ボクが先頭に立って、職場のコミュニケーションをもっとよくしよう」と考えているAさんがいるとします。しかし、あまり効果が上がっていないので、上司であるあなたに相談にきました。

 このようなシチュエーションでは、すぐに「どうしたらそれが解決できるか」に目が向きます。そして「“飲みニケーション”の回数を増やす」などのアドバイスをし、どうしたらそれが実現できるかを一緒に考える機会が多いでしょう。けれども、いくら飲みに行く回数を増やしても本質的なところは何も変わっていないので、職場はあまり変わらないものです。

 そこで「Aさんが本当に望んでいることは何か」に目を向けてみます。Aさんが「職場のコミュニケーションをもっとよくしたい」と思う……ということは、その背景に「もっと楽しい職場にしたい」気持ちがあるはずです。「もっと楽しい職場にしたい」と思う背景には、「毎日楽しく働きたい」思いがあるのかもしれません。「毎日楽しく働きたい」と思う背景には、「毎日充実した気持ちで過ごしたい」気持ちがあるのかもしれません。


 つまり、こういうことです。

 「職場のコミュニケーションをもっとよくしたい」

 →「もっと楽しい職場にしたい」

 →「毎日楽しく働きたい」

 →「毎日充実した気持ちで過ごしたい」

 表面的には「職場のコミュニケーションをもっとよくしたい」と言っているAさんにも、その背景には「毎日を充実した気持ちで過ごしたい」という、Aさんにとって「本当に望んでいること(それを実現したいと思う目的や意味)」があるのです。

 よく「手段と目的を混同するな」と言いますが、「職場のコミュニケーションをもっとよくしたい」は手段、「毎日を充実した気持ちで過ごしたい」は目的と言い換えられます。手段の背景にある上位の目的や意味が明確になると、大きく3つのメリットがあります。

 1つ目は「行動の動機付けになる」ことです。Aさんの例なら、職場のコミュニケーションをよくすることが自分の充実感につながっていると分かれば、「よし、がんばろう!」という新たな決意につながるでしょう。

 2つ目は「手段は他にもたくさんあることに気が付く」ことです。Aさんの例なら、仕事から充実感を得たいのが本当の目的なら、上手くいかない職場のコミュニケーションだけに固執しなくても、まずは、自分の仕事の完成度を上げることで充実感が得られ、仕事が楽しくなってくるかもしれません。

 「類は友を呼ぶ」と言いますが、楽しく働いている人の周りには、そうなりたい人が集まってくるものです。同じ気持ちの人同士なら自然と会話もはずみ、結果的に職場のコミュニケーションがよくなりはじめることも期待できます。

 3つ目は「上司と部下の間の信頼感が増す」ことです。Aさんの「職場のコミュニケーションをもっとよくしたい」気持ちが、Aさんの前向きな気持ちが背景にあることが分かれば、上司としても応援したくなるでしょうし、Aさんも上司から「そうか、職場のコミュニケーションをよくしたいんだね」とだけ伝えられるのと「そうか、Aさんは仕事からもっと充実感を得たいんだね。そのために、同僚との関係をよくしたい。だからこそ、職場のコミュニケーションをよくしたいと思っているんだね」のように、Aさん自身も気づいていなかった目的や意味を含めて伝えられるのでは、後者のほうが「○○さんは自分のことを分かってくれているな」という信頼感を抱くのではないでしょうか。

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─情報元:誠 Biz.IDサイト様─