2013年10月8日火曜日

ペースメーカー「携帯の影響ほとんどない」と総務省 電車内マナー変わる?

 ■鉄道会社見直しの動き

電車内の携帯電話マナーが変わるかもしれない。

 「携帯電話が心臓ペースメーカーに与える影響は小さい」として総務省が今年1月に指針を緩和したことで、鉄道会社が優先席付近の乗客に呼びかけてきた「携帯電話電源オフ」の車内放送を見直す動きが出ているためだ。ただ、利用マナーの観点からも「電源オフ」を継続する鉄道会社もあり、専門家は「トラブル防止の観点からも各社で(呼びかけを)統一するべきだ」としている。

 「ペースメーカーなどに影響を及ぼす恐れがありますので、優先席付近では電源をお切りください」

 電車内でよく流れる車内放送だが、総務省によると、携帯電話がペースメーカーに影響を及ぼした例は一度も報告されていない。

 心臓ペースメーカーは、脈が乱れた際に電気刺激を送り、心臓が正常なリズムで脈打つのを助けるための医療器具。平成7年ごろから急速に携帯電話が普及し、ペースメーカーなどの医療機器への電波の影響が危惧(きぐ)されるようになった。

 鉄道会社が電源オフを呼びかける根拠となっているのが、携帯電話からペースメーカーを22センチ以上離すことを推奨した総務省の「距離指針」だ。学界や関係省庁などで構成する協議会が9年に示した指針を元に、17年に策定された。

 しかし昨年7月、電波の出力が強く、ペースメーカーの誤作動を招く恐れがあった「第2世代」(2G)と呼ばれる携帯電話のサービスが終了。ペースメーカーも改良され、現在は電波の影響を受けにくくなっている。

 実際、総務省が現在の第3世代(3G)携帯電話を使ってペースメーカーへの影響を調査した結果、携帯電話から3センチ以上離れれば、ペースメーカーに影響はないことが判明。総務省は今年1月、距離指針を22センチから15センチに緩和した。

 総務省の担当者は「鉄道会社には実態に合わせて見直してほしい」と話す。

 京阪電鉄は指針の緩和にいち早く反応。3月から混雑時を除き「電源オフ」の呼びかけをやめた。近鉄や阪神電鉄は今後、車内放送の見直しを含め検討を進めるという。JR西日本は「とりあえず現状のまま様子をみたい」との姿勢だ。

 これに対し、電源オフの呼びかけを続けることにした鉄道会社もある。南海電鉄は「呼びかけを見直した場合、マナーの低下や新たなトラブルが起きることも懸念される」として呼びかけを継続する。

 阪急電鉄は「ペースメーカーを使っている方の不安を取り除くためにも電源オフを継続していく」と強調する。ペースメーカーを使用している人は全国で約30万人(試算)。携帯電話の影響を心配する人もいるといい、阪急の対応はこうした声に配慮した形だ。

 患者団体の日本心臓ペースメーカー友の会の日高進副会長(83)は「車内放送ではペースメーカーへの影響を強調せず、『医療機器に影響を与える恐れがある』と案内すれば誤解がないのではないか」と語る。鉄道アナリストの川島令三(りょうぞう)氏(63)は「優先席付近の携帯電話マナーは、トラブル防止の観点からも各社で統一することが望ましい。国土交通省が何らかの指針を示すべきだ」と指摘している。

http://news.livedoor.com/article/detail/8134846/
─情報元:産経新聞サイト様─