今季の就職活動開始まで1カ月を切り、企業側も学生側も準備に取り掛かり始めている。
近年、採用選考において「リクルーター面談」を取り入れている企業が増加している。この動きは、先日経団連によって発表された「就活開始時期の後ろ倒し」の影響を受けて、より強まると予測される。就活開始時期の後ろ倒しが決定し、企業側も困惑の色を隠せない。就活開始時期が遅くなったにも関わらず、学生への内定通知時期は以前と変わらないため、かなり短期間で採用活動を行わなければならないのである。そこで活躍するのが、この「リクルーター」なのだ。
彼らは人事担当者の代わりに、複数人の学生と面談し、優秀な人材をいち早く見つけ、次の選考へ進ませる。そうすることで、本当に優秀な人材だけが本選考へ進み、人事の負担軽減につながる。もちろん全企業が「リクルーター面談」を導入しているわけではなく、主に大手企業、特に金融業界やインフラ、商社業界など一部の企業だけが導入をしていた。しかし、目まぐるしく変化する就活前線の動きを受け、大手企業だけに留まらず、今後さらに多くの企業が「リクルーター面談」を導入する動きが強まるだろうと予測されている。
では、「リクルーター面談」が行われている現場では、どのようなことが起きているのだろうか。実際に学生と接しているリクルーター2人に実情を聞いてみた。
Aさん(大手金融会社勤務) 「学生の緊張を和らげるため、場所はカフェに設定し、【当日は私服で気軽にお越しください】という文面のメールを事前に送っていた。当日、学生はその言葉をうのみにしたのか、サークル帰りのジャージー姿で面談へやってきた。面談中も、特にメモを取ったり、自ら質問をしたりする様子は見受けられず、しまいには【リクルーターから連絡がきたということは、内定確実でしょうか?】と非常に的外れな質問を投げてきた」
Bさん(大手エネルギー会社勤務)「スーツの着こなし方、あいさつや敬語といった基本的なビジネスマナーは非常に良くできており、第一印象は大変好感が持てた。しかし、会社に対する知識は、驚くほどなく、事業内容や海外拠点、商品名などホームページを一度でも見ておけば答えられるような質問に全く答えられなかった。本人としては【会社説明会】あるいは【OBOG訪問会】のような位置づけで、今回のリクルーター面談を捉えていたようだ」
このように、本来であれば学生にとって非常に有利に働くはずの「リクルーター面談」だが、学生自身の準備不足、認識不足により内定から遠ざかってしまっているケースが多発している。上述したAさんの事例のように、実際の面談は、会社の会議室や個室を使って行われる本選考とは異なり、会社近くのカフェや喫茶店などで実施されることが多い点、また「リクルーター」は、基本的に入社2~5年目の若年社員が選出され、さらに同じ出身大学の学生をサポートすることが多い点などから、学生にとっては社会人との面談といえども、「身近な先輩とのお茶会」程度に捉えてしまい、本来の企業選考ほどの入念な準備を行っていかない場合が多いのだ。さらに、全ての学生にリクルーターがつくわけではないため、こちらもAさんの事例で挙げた学生のように、リクルーターとの面談が決定した時点で安心しきってしまい、結果的には内定から遠ざかってしまう場合も大いにあり得る。
このような現状を受け、学生が社会人との接し方について学べるようなキャリアデザインプログラムを取り入れている大学が増え始めているようだ。これから就職活動に励む学生は、「リクルーター面談」を、単なる「先輩社員とのお茶会」ではないことを十分に理解し、企業選考へ進むための第一関門だと捉え、十分な対策をしたうえで臨む必要がある。
http://news.livedoor.com/article/detail/8260157/
─情報元:産経新聞サイト様─