「美容に関するさまざまな情報が巷にあふれていますが、その多くの情報は誤っています」
11月に『肌のきれいな人がやっていることいないこと』(あさ出版)を上梓した美容すがわら皮膚科クリニック副院長の菅原由香子氏は、このように指摘しています。自身が20年間肌荒れに悩み、医学的な観点で研究を続けた末に肌荒れを克服したノウハウをまとめたもので、いま多くの支持を集めています。
今回は、その菅原氏に、
・肌荒れの原因は何か
・正しい洗顔法、洗髪法
・肌がきれいになる食事
・正しい洗顔法、洗髪法
・肌がきれいになる食事
などについて話を聞きました。
●洗顔、洗髪の勘違い
--本書を発刊することになった経緯を教えてください。
菅原由香子氏(以下、菅原) 私は学生の頃から肌荒れに悩み、あらゆる化粧品やスキンケア、洗顔法を試しました。しかし、どれも効果はありませんでした。「自分の肌荒れをなくしたい。同じ苦しみを抱える人を救いたい」との思いから皮膚科医になり、医学的な観点から研究を続けた結果、今まで苦しめられたニキビも、腫れも起きなくなる方法を発見しました。それは誰でも簡単に効果の上がる方法でしたので、多くの方にノウハウをお伝えしようと思い、出版に至ったのです。
--肌荒れの主な原因は、どこにあるのでしょうか?
菅原 まず、美容の基礎である洗顔の仕方を間違えている人が多いです。クレンジング剤を手にとってゴシゴシと顔をこすっている人がいますが、強くこすると皮膚の構造は崩れます。力が加わりやすい頬骨が出ている部分など、色素細胞が活性化して肝斑(かんぱん)と呼ばれるシミをつくります。しかも、多くの方が洗顔の際に力が入りすぎていることに気づいていません。洗顔は、皮膚が動かないくらいの柔らかいタッチで十分です。
--ほかにも誤った美容法はありますか?
菅原 洗髪も間違った方法の人が多く見受けられます。シャンプー、リンス、トリートメントに含まれている成分は皮膚にとって刺激が強すぎるため、肌につくと皮膚の構造が壊されて、保湿成分が流れてしまうのです。シャンプーを使う際には、特に顔につかないように気をつけなくてはいけません。
そこで私は固形石けんでの洗髪を勧めています。無添加で発泡剤が添加されていないものが好ましいです。石けん洗髪を始めて1カ月ほどは、べとべとして頭皮のにおいが気になるかもしれません。なぜなら、シャンプー洗髪を続けてきた頭皮は、毎回必要な皮脂まで流されていたため、流れた分を補うために皮脂を出す力が強まっているのです。従ってしばらくは皮脂が過剰に分泌され続けます。しかし、石けん洗髪を続けていると、皮脂を分泌する力が弱まり、べたつきも臭いもなくなってきます。さらに、皮脂の分泌量が減るので毛穴が詰まりにくくなり、髪の毛にハリやコシが出てきます。
リンスは薬局・薬店で売られているクエン酸を使用します。クエン酸はお肌に傷がある時にはヒリヒリしますが、害はありません。ヒリヒリが気になる方は洗面器1杯分のぬるま湯にクエン酸をティースプーン2杯ほど溶かして使用してください。
--化粧水は、どのようなものを使えばよいでしょうか?
菅原 いま、自然化粧品がはやっていますが、私は化粧水を自分でつくっています。つくり方は簡単です。水にグリセリンを溶くだけで化粧水ができあがります。お肌は弱酸性にすることで健康が保たれるので、クエン酸を加えて弱酸性にするとなおよいでしょう。
まず、水は精製水を使用することが好ましいですが、浄水器を通した水道水でも十分です。決してアルカリイオン水や酸性水は使わないでください。保湿力が足りないと感じるようであれば、ヒアルロン酸を加えます。このようにしてつくった化粧水は、1週間以内に使い切ってください。日数がたつと雑菌が繁殖するからです。
●調理法で肌が変わる?
--本書の中で、食生活が美容に与える影響は大きいと書かれていますが、具体的に教えてください。
菅原 良い食べ物が美肌をつくります。腸には1000種類、1000兆個の腸内細菌がすんでいます。大きく善玉菌と悪玉菌、そしてどちらにもなり得る日和見菌に分類でき、健康的な人は善玉菌3割、悪玉菌1割、日和見菌6割の腸内バランスです。腸内細菌が消化活動を補助しますので、腸内細菌のバランスが崩れると正しい栄養吸収が損なわれます。肌荒れに悩む人の多くは、悪玉菌の比率が高い傾向にあります。
食べすぎ、飲みすぎはもってのほかですが、甘いものが好きな人の腸は正常な栄養吸収が阻害されます。糖分の取りすぎは活性酸素を発生させて、シミやシワをつくる原因になります。あまり知られていませんが、体内に入る前に糖化している食物も避けなくてはいけません。例えば、パンケーキ、トンカツの衣、ポテトチップスなどのおいしそうに見える焼き色は、食べ物のたんぱく質と糖質が加熱され糖化した色です。糖化はシミやたるみの元になります。糖化した食品が体内に入ると、分解しきれずに残った糖化物質が腸から吸収され、全身に広がります。
--同じ食材でも調理の仕方で違いはありますか?
菅原 食品の調理法で最も良いのは、加熱せず、生で酵素を取り入れることです。次に蒸す、茹でる、煮る方法が挙げられます。焼く、炒める、揚げるといった調理法は、糖化物質をつくることになります。
--ほかにも、普段の生活で気をつけるべき点があれば教えてください。
菅原 見落としがちなのが、睡眠の効能です。良質な睡眠は、栄養と同じくらい大切です。特に「睡眠のゴールデンタイム」といわれる午後10時から午前2時は、美肌のためにも健康のためにも寝ていたほうがよい時間帯です。同じ睡眠時間でも、このゴールデンタイムに寝るか寝ないかは大きな違いになります。寝る前には刺激物の摂取を避け、軽いストレッチやヨガなどでリラックスしてから、自分に合った寝具で寝るように心がけましょう。
---ありがとうございました。
市販されている化粧品には、使い勝手を良くしたり長持ちさせるために、肌に悪影響を与える成分が多く加えられています。食事、睡眠を見直すことで健康を保ち、シャンプーや化粧品などの市販品を使わなければ、自然と肌はきれいになっていくでしょう。
(文=尾藤克之/ジャーナリスト・経営コンサルタント)
(文=尾藤克之/ジャーナリスト・経営コンサルタント)
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─情報元:ビジネスジャーナルサイト様─